競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、日本初開催となるツール・ド・フランス公式イベント「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」です。
ツール・ド・フランスが埼玉に!
 太田真一選手、平原康多選手、井上善裕選手が力走!

クリテリウムコースに隣接する、さいたまスーパー
アリーナで行われた村上義弘、森美紀、安田団長
のトークショー

さいたま新都心の特設コースで行われた
クリテリウムには多くの観客が詰めかけた

スタートダッシュで先頭に上がる太田真一

海外のトップ選手に混じって走る平原康多

完走を果たした井上善裕

優勝はマイヨジョーヌのクリストファー・フルーム
 毎年7月にフランスで開催される世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」。3週間に渡ってフランス全土を駆け抜ける壮大なレースは、多くの人々を魅了し、国際的な人気と知名度を誇るロードレース大会です。
 ロードレースにはあまり馴染みがないという方でも、「ツール・ド・フランス」という名前は聞いたことがある、という方は多いのではないでしょうか。

 そのツール・ド・フランスが、なんと日本にやって来る!? そんなイベントが10月26日(土)に埼玉県さいたま市で開催された「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」です。
 このイベントは、ツール・ド・フランスで活躍する世界のトップ選手たちをメンバーに、クリテリウムレースを行うというもので、スポーツ振興やスポーツによる地域経済の活性化を進めているさいたま市が、ツール・ド・フランスを運営するA.S.O(アモリ・スポル・オルガニザシオン)と交渉し、招致。世界で初の「ツール・ド・フランス」という名を冠した公式イベントが、さいたま市で誕生することとなりました。

 この「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」には、記念すべき100回大会となった今年のツール・ド・フランス優勝者、クリストファー・フルーム(スカイプロサイクリング)をはじめ、ポイント賞のペーター・サガン(キャノンデール)や、区間2勝を上げ今年の世界選手権覇者でもあるルイ・コスタ(モビスター)など、上位入賞選手を中心にそうそうたる顔ぶれが集結。さらにツール・ド・フランスに出場経験を持つ新城幸也選手(ヨーロッパカー)と別府史之選手(オリカ・グリーンエッジ)、そして国内トップロード選手も参加するなど、ロードレースファンにとっては夢のようなイベントに。

 この日本初のビッグイベントに、競輪も補助事業として協力を行いました。村上義弘選手と森美紀選手のトークショーや、大宮・西武園競輪のブース出展、そしてメインのクリテリウムレースには地元埼玉支部から太田真一選手、平原康多選手、井上善裕選手の3名が出場!
 イベント当日は台風の影響で開催が心配されましたが、午後には雨も上がり、無事さいたま新都心を舞台としたクリテリウムレースが開催されました。

 今回のクリテリウムは、さいたま新都心駅周辺に作られた1周2.7kmの特設コースを20周する総距離50kmのレース。競輪選手にとってはかなり長い距離となり、レース前は3選手揃って「厳しいでしょうね」と話していましたが、まずはベテラン太田真一選手が狙いすましていたかのようなスタートダッシュ! 先頭に躍り出て歓声を浴びます。
 「ロードレースは高校生以来」だという平原選手は序盤でのリタイアとなりましたが、笑顔も見せ、またとない機会を楽しんでいたよう。そしてロードレース好きでレース経験も豊富な井上選手は、素晴らしい走りを披露。きっちり集団に付いて周回を重ね、残り数周で遅れ始めてしまったものの見事完走! ゴールでは大観衆から拍手が送られていました。

 主催者発表で延べ20万人の観客を動員したという今回の「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」。観客の皆さんの中には、初めて自転車レースを見たという方も多かったようですが、普段自転車のレースやイベントに足を運ぶ機会がないという方々に関心を持ってもらえたということが、まずは大きな成功と言えるのではないでしょうか。

 今回のイベントもそうですが、以前ご紹介した「ジャパンカップサイクルロードレース」など、競輪はたくさんの自転車レースやイベントをサポートしています。特に競輪選手たちが他の自転車選手や一般サイクリストと一緒に参加することは、一人でも多くの方に競輪に興味を持ってもらううえで、とても大きな役割を果たしていると言えます。
 垣根を越えた融合は、自転車界全体のさらなる盛り上がりに繋がることでしょう。

「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」に参加した
太田真一選手、平原康多選手、井上善裕選手にお話を伺いました。

太田真一 埼玉・75期
─今回は埼玉支部を中心にこのイベントに協力されていますが、どんな経緯だったのでしょうか。
「まずこの大会は、さいたま市の清水市長がツール・ド・フランスを興行しているA.S.Oという会社と交渉して、こういうイベントをさいたま市でやろうと決まったんです。地元でやるということだし、競輪の補助事業でもあるということで、じゃあ地元の選手会として何かお手伝いできないかなというところから始まりました。クリテリウムの出場自体はだいぶ後になって決まったことですけど、自分としては大宮競輪場の近くで行われるし、レースには誰か地元の選手を送り込みたいなという思いがあって。ただ、まさか自分が走るとは思ってなかったんですけど(笑)」
─レースへの意気込みを聞かせてください。
「まあレース自体は厳しいものになるとは思うんですけど、ロード選手と僕ら競輪選手、種目は違っても同じ自転車競技として、何とかうまく融合できないかなと考えているので、まずスタートラインについて一緒に走り出すということが大事だと思っています。少しでも目立てるように頑張ります」


平原康多 埼玉・87期
─クリテリウムを走られる気持ちは?
「ロードのレース自体が高校生以来なので、勝負に絡むのはさすがに厳しいとは思いますけど(笑)。でもロードレースは結構好きで、ツール・ド・フランスもたまに観たりしています。(今年の優勝者の)フルームには前夜祭で会って、写真も撮ってもらいました(笑)」
─レースへの抱負をお願いします。
「一緒に走る海外の選手たちが、どういうレベルなのかっていうのを肌で感じたいです。レースの中で目立つのはちょっと厳しいかなと思いますけど、競輪選手として走っているのをアピールしたいですね」


井上善裕 埼玉・75期
─ロードレースにはよく参加されていて、得意だとお聞きしましたが。
「得意ではないんですけど、よく参加はさせてもらっています。100km未満くらいのレースが中心ですね。ちょっと山を上るようなコースが好きなので、修善寺CSCや群馬CSCなんかの周回レースに比較的よく参加しています」
─クリテリウムの目標は完走も視野に入れて?
「いやあ、完走はどうですかね(笑)。一般のクリテリウムでもレベルがすごく高いので、このメンバーですからたぶん想像している速度域よりも10km以上は速いと思います。まあ普段経験できない速度を体験できるっていうこと自体がすごく幸せだなと思いますし、なるべく長く走って、普段テレビでしか観られない選手の乗り方とか、ギアチェンジの仕方とかを間近で見たいですね」