競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、千葉県市川市にありますNPO法人地域精神保健福祉機構“コンボ”を訪ねました。
当事者や家族の気持ちや立場に立った情報提供や活動

事務局長・桶谷肇さん、篠田支部長、
共同代表・宇田川健さん、出版事業担当・丹羽大輔さん


発行されている冊子、
メンタルヘルスマガジン『こころの元気+』


『こころの元気+』が第1回日本医学ジャーナリスト協会賞
「特別賞」を受賞されました。
 コンボは、平成19年2月にスタートし、正式名称は『NPO法人地域精神保健福祉機構』、COmmunity Mental Health & welfare Bonding Organizationの頭文字をとって、通称“COMHBO(コンボ)”と呼ばれています。

 『精神障害をもつ人たちやその家族等、当事者の視点を活動の中心にすえる』、『科学的な根拠に基づく精神保健医療福祉サービスの、普及活動を進める』、『志を同じくする人や団体が有機的に連携し、地域精神保健福祉の向上をめざす』という 3つの使命を柱に活動されています。

 医療や福祉などの現場では、病気を持つ当事者は受け身がちになり、長期入院や多くの薬を処方され、副作用で大変だという人もいます。コンボでは、そういう当事者や、家族のサイドに立った活動や情報提供を行っているそうです。

 “リカバリー”という言葉はまだ馴染みのないものですが、今までの医療中心の考え方では、「働くとストレスになるから病状がよくなってから」や、「結婚や異性と付き合ったりするのもストレスになるから病気がよくなるまで控えよう」などという考え方でした。
 しかし病気や症状というのは自分の人生の障害になるから良くしたいと思うわけですけど、それが人生の最大の目的になってしまうのはおかしいという考え方が、リカバリーという言葉に込められています。生活はある程度制約を受けますが、病気や障害に人生を左右されない、もっと人生を前向きに生きていこうという考え方のことです。そのような価値観を広げていくことで、少し日本の医療や福祉の考え方を変えていくことを目標にかかげています。

 主な活動内容は、
・月刊メンタルヘルスマガジン「こころの元気+」の発行
・リカバリー全国フォーラム
・こんぼ亭月例会というメンタルヘルスに関して色々なテーマで、先生方や活動をしている方をゲストにお呼びしてのトークイベント
・毎年行っている、精神障害自立支援活動賞(通称リリー賞)の表彰活動・ピアサポートグループ普及事業。ピアというのは仲間という意味なんですけども、精神疾患を持った仲間同士でグループを作って、お互いに病気のことを話したり、生活のことを話したりということを通じて、力をつけていこうという活動。
・P.N.P.P(ピア・ネットワーク・プロモーション・プロジェクト)
・元気+サークル
・家族による家族学習会
・ACT立ち上げ支援事業は、訪問して、医療や福祉のサービスを一体的に提供しようという活動。全国に普及させていこうということで、立ち上げを支援するため全国9箇所でアドバイスしたり、サポートなど、研修会をしたりしています。
・心理教育普及プロジェクト
・学校MHLプログラム普及事業
 などなど、他にもたくさんあり、多岐にわたり活動しています。

 この中で、こころの元気+の発行と、 P.N.P.Pに競輪の補助事業が活用されています。

 『こころの元気+』は、コンボが設立された2007年からずっと発行している月刊誌。表紙は当事者の方から募っているそうですが、応募があとを絶たないそうです。
「こだわったのが、プロのカメラマンに撮ってもらい、メイクの人にきちんとメイクアップをしてもらって、格好よく撮ろうというものです。リカバリーの考え方からすると、その人全部が病気なんじゃなく、健康な部分もたくさんあると考えます。
この表紙はその人の健康な部分が写し出されているんだと思うんです。『読んで勇気をもらいました』という声をいただいて、一歩を踏み出すような力になっているのかなと思います。世の中にインターネットでも多く情報はありますが、でも、そこでは読み取れない情報を提供していきたいですし、また、当事者の方はインターネットを使えない人も多いので、こういう情報提供が喜ばれているのかなと思います。この雑誌は、病気を改善するには薬などもその1つだと思うけども、その人の健康や素敵な部分を広げていきたいという思いで作っている冊子です」と、まさにコンボの理念を体現する雑誌だといえます。

  P.N.P.Pは、ピアという 精神疾患を持った仲間同士のグループ作りを目的とした活動です。
「仲間の力っていうのはすごく大きくて、自分と同じ人たちの存在はすごく大きな力になって、病気そのものがなくなるわけじゃないけど、すごく元気になったりします。精神疾患の不思議なところは、感染症などと違って、薬だけで治るものでもなくて、それ以外の力もすごく大きいんですね。また、元気な人、前向きな人と話すことによって、自分も元気をもらえたりするんです。仲間作りのネットワークというのは、そういうものをもっと広げていきたいという想いでやっている活動です。
 第一部、第二部に分かれていて、第二部は言いっぱなし、聞きっぱなしの会をやるんです。守秘義務や否定はしないなど、話しやすいルールを作っているので、この中ですごく皆さん仲良くなるんですよ。そこで皆が仲良くなって、地元にこのやり方を持ち帰っていただけることが目的ですね」

 精神障害をもつ当事者の皆さんが主体的に生きていくことができる社会のしくみを目指して、今後もコンボの活動は精力的に拡がっていくことでしょう。

インタビュー
篠田宗克 千葉・65期
今回の取材に参加して頂いた千葉支部支部長を務める、篠田宗克選手にお話を伺いました。

篠田宗克(千葉・65期)
-コンボの活動を聞いた感想はいかがですか?
「日本競輪選手会千葉支部も知的障害を持った方の施設である「富里福葉苑」との交流があります。昨年、JKAにその活動が認められて、特別功労賞をいただきました。今でも運動会や文化祭やクリスマス会などイベントがある際に、数名の選手が訪問し、一緒に走ったり、参加したりしています。
 今回、同じ千葉県内でコンボさんの活動があることを初めて知りました。JKAを通じて、自分たちが走ることによって生まれる収益が様々な形になって使われるということが初めて分かり嬉しく思います。今後ともぜひ、有効利用していただいて、役に立ててもらいたいです。
 千葉支部として自分たちが直接何をできるかわからないですけど、支部のイベントでチャリティオークションなどやったりしていて、その時に寄付する先を探して寄付するような活動もしていますので、今度そういう機会がありましたら、コンボさんにぜひ使っていただきたいなって思いました。
 また競輪場をどのように利用できるか分かりませんが、もしコンボさんや他の福祉事業の方に来ていただいた時に、お互いプラスになるようなイベントをやりたいと考えています。ぜひ競輪場に来ていただいて、“こういう世界があるのかなぁ”と競輪に接していただければと思っています」
-さて、支部長のお弟子さんである石井貴子生徒(106回生)ですが、先日の世界選(コロンビア・カリ大会)に出場するなど、頑張っていますね。
「彼女は岐阜出身の、早稲田大学スキー部の出身です。卒業後一時期会社員でした。その会社の社宅が我孫子にあったんですよ。ある日、満員電車に揺られて出勤している時に、こんなことをやるために生きているんじゃないって、『そうだ! ガールズケイリン選手になろう』と思ったそうなんですよね。
競輪場に出入りしている業者さんと、石井貴子のウエイトトレーニングを見てくれていたトレーナが知り合いで、その流れで千葉支部の支部長に連絡をしてみたらと連絡先を教えてもらったみたいである日、電話がかかってきたんですよ。それで、我孫子で家も近いし、私が面倒を見ることになりました。
 彼女は当時会社員でしたから出社する前に早朝トレーニングをやっていましてね。他にも仕事の隙間に練習できる時間を見つけては一緒に練習していたんです。会った瞬間から、こいつは競輪界を変えてくれるんじゃないかってオーラを感じました。それに自転車に乗ったら乗りっぷりもいいし、アドバイスしたことはすぐに出来るし、これは逸材だって思いました。「練習できるのも素質のうち」って、よく言いますけど、彼女は練習もするしいい素質を持っていると思います。
 先日は、世界選手権出場というチャンスの場も与えていただき、次につながると思いましたね。これからは自転車競技とガールズケイリン発展のためにいろんなことをやらなければいけない立場に彼女はなってくると思うので、それは私にとってもいい刺激になりますよ。競輪界の逸材を順調に育てなければいけないっていう使命はプレッシャーでもあるけど、でも、その重責が自分のモチベーションのプラスになりますからね。公務、自分の練習、貴子の稽古、全てをやることが自分のチャレンジだと思い、これからも頑張りたいですね」