競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、国内最高峰の自転車レース「2015ジャパンカップサイクルロードレース」です。
浅井康太選手と金子幸央選手がクリテリウムを激走!
ガールズ選手もスペシャルレースで華を添える

宇都宮市中心部のメインストリートを封鎖して
開催されるクリテリウム


ロード選手に引けを取らない走りを見せた浅井康太


地元の金子幸央は念願叶っての初参戦


クリテリウムの優勝は別府史之(トレックファクトリー)


森林公園で行われたロードレースにも
大勢の観客が詰めかけた


スプリント勝負となったゴールを制したのは
バウケ・モレマ(トレックファクトリー)。
新城幸也(日本ナショナルチーム)は3位に入った

 毎年10月中旬に栃木県宇都宮市で開催される「ジャパンカップサイクルロードレース」。ツール・ド・フランスなどに出場する世界のトップチームが来日し、日本人選手たちとバトルを繰り広げる国内随一の大会は、多くの自転車ファンを魅了する一大イベントです。
 24回目を迎えた今年はチームプレゼンテーションを含め、10月16日(金)~18日(日)の3日間に渡って開催されました。

 本戦となるロードレースの前哨戦として2010年より行われているクリテリウムには毎年競輪選手も出場しており、今年は2013年に続いて2回目となる浅井康太選手と、地元の金子幸央選手が初参加しました。
 クリテリウムは1周1.55kmのコースを20周する総距離31kmで争われます。短距離が本職である競輪選手にとっては厳しいレースではありますが、浅井選手は前回サドルの故障がありながら終盤まで走り、金子選手は高校時代ロードレースなど中長距離で活躍していたこともあって、「競輪選手初の完走」に期待がかかりました。
 レースが始まると、浅井選手は集団の前方から中団をキープする素晴らしい走りを披露。金子選手も後方の位置ながら集団に食らいついて周回を重ねていきます。ところが、10周を過ぎたところで浅井選手が落車するアクシデントが起き、集団から大きく遅れてしまいます。それでも15周すぎまで走り続けた浅井選手ですが、最後は無念のリタイア。金子選手も10周が過ぎたあたりから遅れ始め、残念ながら完走はなりませんでした。
 「完走できる手応えを感じていた」というだけに、浅井選手はとても悔しがっていましたが、レース後のトークショーでは「落車しても最後まで諦めない姿勢を見せたかった」と語り、金子選手も「次に走る機会があったら完走とは言わず、ゴールスプリントに絡めるくらい頑張りたい」と力強くアピールし、会場に集まった観客から大きな拍手が送られていました。

 男子の競輪選手だけでなく、ガールズケイリンの選手もジャパンカップの盛り上げに一役買っています。2013年からクリテリウムに先立って行われている「ガールズケイリンスペシャルレース」は、競輪と同じように先頭誘導の後ろに1列に並んで周回し、ラスト400m前後の直線で勝負となります。競輪選手の持ち味であるスピードで魅せる、スプリントレースです。
 今年は浦部郁里選手、小川美咲選手、三宅玲奈選手、福田礼佳選手、細田愛未選手、競輪学校生の林真奈美生徒、土屋珠里生徒の7名が参加。レースは先行する細田選手をゴール前で差した地元の福田選手が1着となり、大歓声が上がっていました。

 今年のジャパンカップはクリテリウム、ロードレースともに日本人選手が活躍を見せた大会となりました。
 クリテリウムでは別府史之選手が優勝し、日本人選手初の快挙! さらにロードレースでは新城幸也選手が3位に入り、久々に日本人選手が表彰台に上がりました。別府選手、新城選手ともに海外チームに所属し、世界のトップレースに参戦している選手ですが、これからの日本人選手の可能性を大いに示してくれました。

 ジャパンカップの開催には競輪の補助が活用されていますが、資金面だけでなく、かねてより地元の競輪選手会栃木支部が運営面での協力も行ってきました。近年は裏方としてのサポートに加え、レースやトークショーなどのイベントにも競輪選手たちが参加するようになったことで、より一層垣根を越えた、様々な自転車ファンが楽しめる「自転車の祭典」へと発展しつつあります。
 今年はクリテリウムで4万3千人、ロードレースで8万2千人と過去最高の観客を動員したジャパンカップ。25回目という節目を迎える来年はどんな大会に進化するのか、今から期待が膨らみます!


ガールズケイリンスペシャルレース

1番車、地元の福田礼佳が勝利

パレードを走るガールズ選手たち

栃木支部の選手たちも勝負服でパレードに参加

高校生たちによるレース「ホープフルクリテリウム」で優勝した、
息子の健太選手を祝福する小嶋敬二選手

クリテリウムのあとにはトークショーも行われた
 
選手インタビュー
◆浅井康太(三重・90期)


浅井康太選手

「今年のクリテリウムは結構いいところまで走れそうだなと感じていて、15周まで頑張れればあとの5周は気持ちでいけると考えていたんですけど、12周くらいで落車してしまって。そこから一人になって、すぐに止めようかなとも思ったんですけど、沿道から声援が聞こえて、その応援してくれる人に応えたいという気持ちでそのあとも走り続けました。正直、千切れて一人で走っているのは格好悪いですけど、競輪選手もこれだけやれるんだと思ってもらえたら嬉しいですし、なにより自分の持ち味は諦めないところですから。最後まで走れなかったのは悔しいですけど、自転車を楽しめたのはよかったと思います。今度走るときはまず完走を目指して、その次にスプリント賞を狙ってみたいですね。本気ですよ(笑)。
 馴染みのない人にも競輪を知ってもらうには、こういうジャパンカップのようなレースやトークショーとかに選手が参加して、競輪や競輪選手を身近に感じてもらえるようなイベントができれば一番いいのかなと。選手自らが積極的にそういう機会を作っていくことは大切だと思います」
◆金子幸央(栃木・101期)


金子幸央選手

「ジャパンカップは高校生のときから何回も見ているので、(クリテリウムは)なんとかいけるんじゃないかなと思っていたら、自分の想像のはるかに上をいったキツさでした(笑)。12、3周まで走ったところで、あともう少しだと思ったら一気に集団のスピードが上がって、もう付いていけなかったですね。やっぱりロードのプロはすごいなって思いました。でも、集団からずいぶん離れてしまった僕にも沿道から『頑張れ』って応援してくれて、本当に観客の声援が温かくて涙が出そうになりました。せっかく出場させてもらったのに完走できなかったので不甲斐ないなっていう気持ちはあるんですけど、すごく楽しかったですし、いろいろ刺激もあって、いい経験はできたと思います。
 僕も一昨年のパレードには(栃木支部の一人として)参加しましたけど、ジャパンカップはロードはロード、競輪は競輪っていう形じゃなくて、横のつながりというか、みんなで自転車を盛り上げていこうっていう感じがして、すごくいいですよね。こういう、みんなが自転車を楽しめる大会がどんどん増えていってくれたらと思います」