競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、国内最高峰の自転車レース「2016ジャパンカップサイクルロードレース」です。
渡邉一成選手と金子幸央選手がクリテリウムに参戦!
ガールズケイリン選手もレースにイベントに大活躍
宇都宮市街地で行われたクリテリウム
黄色いジャージのトレックがトレインを組んで
レースをコントロール
クリテリウム優勝は2年連続で別府史之選手
森林公園で行われたロードレースのスタート前
古賀志山の山岳ポイントには毎年大勢の観客が集まる
ロードレース表彰式。優勝はダヴィデ・ヴィッレッラ選手
(キャノンデール・ドラパック)
1990年に栃木県宇都宮市で開催されたUCI世界選手権のメモリアルレースとして、1992年に誕生したジャパンカップサイクルロードレース。ツール・ド・フランスなどにも出場する海外チームが参戦し、世界のトップ選手の走りを間近に見られる大会とあって、毎年多くの自転車ファンが詰めかける一大イベントとなっています。
創設25周年を迎えた今年は、10月21日(金)~23日(日)の3日間に渡って開催。今回は記念大会として、本戦のロードレースに先立って行われるクリテリウムのコース延長や、昨年エキシビションで行われた高校生のレースが公式レースになるなど、より「魅せるレース」に力を入れ、さらに浅草と宇都宮を繋ぐ直行列車「ジャパンカップトレイン」の運行など、ファンサービスにも新たな試みが取り入れられました。
宇都宮市街地で行われるクリテリウムには毎年競輪選手も参加していますが、今年は6年振りの参戦となる渡邉一成選手と、地元の金子幸央選手が昨年に続き2回目の出場。他にも短期登録で来日中のテオ・ボス選手や、ボス選手のチームメイトのエドヴァルド・ボアソン・ハーゲン選手、小坂光選手が「クリテリウムスペシャルチーム」のメンバーとして名を連ねました。
クリテリウムは1周2.25kmを15周回で争われ、総距離30kmを超えるレースは短距離を専門とする競輪選手にとって得意分野ではありませんが、昨年完走を逃し悔しがっていた金子選手は、残り3周まで集団に食らいつく走りを披露。残念ながらあと一歩のところで完走はなりませんでしたが、会場を沸かせてくれました。今回、監督も兼任した渡邉選手は早めのリタイアとなりましたが、渡邉選手の見せ場は実はこの後にあったのです。
クリテリウムのあとにはステージイベントがあり、例年競輪選手たちはトークショーを行っていたのですが、今年はちょっと趣向を変え、自転車のトレーニング・測定マシンとして人気のWattbike(ワットバイク)を使った測定会が企画されました。「クリテリウムスペシャルチーム」のメンバー全員が参加し、6秒間思い切りペダルを踏み、その出力を測定します。大トリを飾って登場した渡邉選手は、暫定トップのテオ・ボス選手を抑えて見事トップの数値を叩き出し、会場からはどよめきと大歓声が!金子選手もボス選手には及ばなかったものの、高い数値を記録し、競輪選手のパワーを見せつけてくれました。
ガールズケイリン選手もジャパンカップではレースにファンサービスにと大忙しです。クリテリウムの前座レースとして行われる「ガールズケイリンスペシャルレース」には、今年は元砂七夕美選手、日野友葵選手、中嶋里美選手、林真奈美選手、競輪学校生の梅川風子生徒、太田りゆ生徒、吉村早耶香生徒の7名が参加。2.25kmのコース1周で争われ、競輪同様ペーサーをつけて周回し、残り400mほどの直線からスプリント勝負となるレースは、梅川生徒と太田生徒のゴールデンキャップコンビがワンツーを飾りました!早くもデビューが待ち遠しいですね。
翌日のロードレース会場でも、トークショーやガールズケイリンブースでのお手伝いなど、競輪のPRだけでなく、ファンの皆さんとの交流にも努めていました。
様々な面で非常に規模の大きな大会となっているジャパンカップですが、開催には競輪の補助金が活用されており、競輪界も日本を代表する自転車イベントの盛り上げに一役買っています。
今年の観客動員数は主催者発表で、クリテリウムが5万人、ロードレースが8万5千人で、過去最高を記録しました。
これだけたくさんの観客が集まる大会に競輪選手たちが参加することは、もちろん競輪のアピールにも繋がります。ジャパンカップを通じて、より多くの方に競輪にも興味を持ってもらうきっかけになれば嬉しいですね。
クリテリウムを走る渡邉一成選手
金子幸央選手は残り3周まで粘りの走りを見せた
ロードレースは最後になるかもしれないと話していた
テオ・ボス選手
クリテリウムスペシャルチームのチームプレゼンテーション
ガールズケイリンスペシャルレースに出場する7選手
周回中
ゴールを制したのは学校生の梅川風子生徒
トークショーに出演するガールズ選手たち
◆梅川風子生徒
梅川風子生徒
「(会場の雰囲気に)めちゃめちゃ興奮しました。あんなにたくさんの人に見られることもなかなかないので、すごく楽しかったです。レースはペーサーが退避してからの直線勝負で、たぶん先輩方の後方からのスタートになるだろうけれど、1着を狙って仕掛けて行きたいと思っていましたが、本当に1着を取れてしまって(笑)。(学校の)沖先生からいろいろアドバイスを頂いていたので、その通りに走れたのがよかったかなと思います。
補助事業については授業で習い、自分の身近なところにもいろいろと使われていることを知りました。自分が走ることによって、結果、社会に還すことができるっていうのは、とても嬉しいですね。今回のジャパンカップでも、このガールズケイリンのイベントがきっかけで、競輪に興味を持ってもらえたらいいなと思いました。
学校では今、競走訓練が始まっていて、自分は先行にこだわってやっています。今後も先行一本でホーム、バック数ともに1位になることを目標にして、卒業まで頑張りたいと思います」
◆太田りゆ生徒
太田りゆ生徒
「すごく楽しかったです。私の名前を呼んでくれる応援もたんさんあって、嬉しいなと思いました。レースは梅川さんを追いかけるような感じになるだろうなと思っていたんですけど、112回生を代表してきているので、格好いいレースがしたいと思っていました。結果的にもっと前々から早く行けば勝てたかなって(笑)。梅川さんとはバチバチにライバルだとお互い思っているので、やっぱり勝ちたかったですね(笑)。
献血の車とかに競輪のマークがあることは以前から知っていましたけど、こういう競輪の補助事業があるってことをもっといろいろな人に知ってもらえたらいいなと感じました。まだデビューもしていないので、具体的なイメージは湧かないんですけど、自分が走ることで社会に貢献できるっていうのはいいことかなと思います。
学校では競走訓練が始まっているんですけど、先行で逃げ切りっていうのはなかなか難しいなとは思いつつ、いろいろな戦法でまずまず1着は取れているかなと思います。今後は卒業記念レースに向けて、自分がどういうレースをしたらいいのかを考えながら、毎日やっていけたらいいなと思っています」
◆吉村早耶香生徒
吉村早耶香生徒
「ジャパンカップはお客さんがすごくたくさんいるっていうのは聞いていたんですけど、実際にあの場に立つとやっぱり迫力がすごいなと思いました。自分は(梅川生徒や太田生徒と比べると)存在感が薄くて(笑)、でも自分なりにしっかり走りたいと思っていたんですけど、レースは梅川さんと太田さんが先に動いて、自分はただ後ろにいるだけになってしまったので、やっぱり自分で動けなかったことは課題だなって思いました。
補助事業は学校で習って、いろいろなところで役立てられていることを知りました。自分もデビューしたあと、そうやって社会に関わっていくことになるので責任を感じます。今回のジャパンカップは、これから競輪選手になる者として、今後こういう活動(イベントへの参加など)もしていくと思うので、その前にいい経験をさせてもらったなと思います。
112回生は梅川さんを筆頭に強い人が多いので、その中にいるということは、自分の弱さも強さも浮き彫りに出てくるし、今の環境の中で精一杯頑張りたいと思っています。競走訓練では今、先行で攻めているんですけど、最後まで逃げ切る脚とか判断力がないので、これからもっと身につけていきたいです」