競輪補助事業紹介

競輪の売り上げの一部は医療、福祉、ものづくり、スポーツ振興など様々な分野の活動に役立てられています。選手の走りと、ファンの皆さんとで創り出す競輪補助事業。どんなところに、どんな形で支援が行われているのか、ご紹介していきます!
今回は、ロードレースの一大イベント「2018ジャパンカップサイクルロードレース」です。
今年も宇都宮に自転車ファンが集結!
 世界のトップ選手が集う、国内最高峰の自転車レース「ジャパンカップサイクルロードレース」。1990年にアジアで初となる世界選手権ロードレースが栃木県宇都宮市で開催されたことを記念して誕生した同大会は、創設から四半世紀を超え、多くの自転車ファンを魅了し続けています。

 27回目を迎えた今年は10月19日(金)~21日(日)の3日間にわたり、開催されました。出場選手が勢揃いするチームプレゼンテーション、宇都宮市中心部のメインストリートを封鎖して行われるクリテリウム、自然あふれる森林公園を舞台としたロードレースと、自転車レースの醍醐味を様々な形で楽しめるのがジャパンカップの魅力ですが、さらに今年は出場選手数が大幅に増加。昨年までの14チーム69名から21チーム126名となり(クリテリウムにはスペシャルチームも加わる)、これまで以上に迫力のあるレースが繰り広げられることに。

 クリテリウムは1周2.25kmのコースを15周する総距離約38kmで争われます。毎年競輪選手もスペシャルライダーズとして参加していますが、今年は昨年競輪選手として初めて完走を遂げた渡辺正光選手と、元プロロード選手として活躍していた新人の福田真平選手が出場しました。
 渡辺選手はレース前に「今回はただ完走するだけではなく、スプリント賞を狙っていきたい」と話していた通り、集団から単独で飛び出しを図り観客を沸かせましたが、その後脚が攣ってしまったそうで、残念ながらリタイア。福田選手は「クリテリウムは得意ではありましたけど、今はもうロードの練習はしていないので、走ってみないことには分からない」と控え目な発言をしていましたが、集団の中でレースを展開し、最終的に81位できっちり完走を果たしました。

 また、クリテリウムの前には恒例の「ガールズケイリンスペシャルレース」も行われました。今年は田中まい選手、明珍裕子選手、青木美優選手、蓑田真璃選手、梅川風子選手、比嘉真梨代選手、競輪学校生の坂口聖香生徒の7名が参加。レースは競輪と同様にペーサーが先頭を引いて周回、ラスト400m前後からのスプリント勝負で決着します。女子選手のパワフルなもがき合いに歓声が上がる中、先頭でゴールを駆け抜けたのは梅川選手! 学校生時代に出場した2015年大会に続き、2度目の勝利となりました。

 ジャパンカップは、クリテリウムが開催されるようになった2010年大会以降、主催者発表で毎年10万人以上の観客動員数を記録する、ビッグイベントとなっています。今年は晴天にも恵まれ、過去最高だった2016年大会の13万5千人に迫る、13万2千人が観戦に訪れました。
 これほど多くの自転車ファンを惹きつける理由は、もちろん世界の名だたる有名選手やチームが出場するということもありますが、大会のホスピタリティの高さも実は大きな要因と言えます。
 観客が集中して大混雑してしまうスタート・ゴール地点には安全にゆったり観戦できるよう有料の観覧席を設けたり、これまで観客が少なかったエリアに大型ビジョンや飲食ブースを設置し、新たな観戦スポットとして観客の分散化を図るなど、毎年のように色々な部分で観戦環境の向上が行われています。
 また、大会運営の質だけでなく、観客のマナーの良さも国際自転車連合(UCI)から高く評価され、多くの海外選手から「出場したい大会」として名前があがるほど。まさに名実ともに日本が世界に誇る自転車レースが、ジャパンカップなのです。
 そんなジャパンカップの開催には競輪の補助金が役立てられています。たくさんのファンに愛される「自転車の祭典」の発展と盛り上げに、競輪界も一役買っています。


初日の夜に行われるチームプレゼンテーション

ガールズケイリンスペシャルレース

クリテリウムの前に行われるパレード走行には、
栃木支部の競輪選手たちも参加

クリテリウムのスターターを務めるのはJKAの大胡田泰隆理事

これまでより50人以上も選手数が増えたことで
レースの迫力も一層増した

クリテリウム終了後に行われるガールズケイリントークショー

スペシャルライダーズチームのトークショーも

宇都宮市郊外の森林公園で行われるロードレースには
早朝から多くの観客が詰めかける

コース内には美しいダム湖もある

ロードレース会場の競輪ブースでは
1着当てクイズなどが行われ、大盛況
インタビュー
◆渡辺正光(福島・95期)
「趣味と練習を兼ねて(ロードやクリテリウムなど)色々なレースに出場しているんですけど、ジャパンカップのクリテリウムは昨年初めて走らせてもらいました。話がきたときは嬉しかったですね。今まで自分が走ってきたレースよりもレベルが高くて、すごくきつかったんですけど、楽しめて走れました。走り始めてみて、完走できそうかなという感触はありましたけど、走る前から完走しろと周りからプレッシャーを与えられていたので、頑張りました(笑)。
ジャパンカップは本当に世界のトッププロが走るレースだなという感じで、こういう自転車の大会に競輪の補助金を使ってもらえるのは、選手としても嬉しいですね。自分たちが走ることで、自転車の普及だとかそういうことへの貢献にも繋がればいいなと思います」

渡辺正光選手

◆福田真平(愛知・113期)
「自分が最後にジャパンカップを走ったのが2009年なので、大会自体すごく久しぶりですし、クリテリウムを走るのも今回が初めてになります。(競輪選手になって戻ってきたことは)ちょっと不思議な気持ちですけど、ずっと一緒に戦ってきた選手たちと久しぶりに会えて楽しいですし、今回参加できて嬉しいです。今回はどのくらい走れるか分かりませんけど、最低限の目標として完走は目指したいなと思っています。
ロードの選手として大会を走っていた頃は、競輪のマークが必ずあるので、何かしらサポートをしてもらっているんだなというくらいの感覚でしたけど、競輪選手になってみて、逆にその意味がよく分かるようになったというか。色々な大会の開催に競輪の売り上げが活用されていますけど、競輪がなかったらもしかしたらそういう大会も存在しなかったかもしれないんだなと思うと、改めてありがたみを実感しました」

福田真平選手

◆明珍裕子(福島・104期)
「2014年以来、2回目の参加です。前回はすごくたくさんの観客の中で走った思い出があります。やっぱり競輪場でお客様の前で走るのとはまた違った雰囲気ですし、ちょっとワクワクしますね。競輪選手になる前はロードの選手として出場したこともあるので、ジャパンカップには懐かしさもあって。今はガールズケイリンの選手としてレースを走るわけですけど、ロードレースと競輪で戦う場所が違っても、同じ自転車で繋がっているんだなっていうのは改めて感じますね。ジャパンカップを通じて、ガールズケイリンの認知度ももっともっと高めて、競輪もロードレースも両方一緒に盛り上がっていけたらいいなというのが一番の思いです」

明珍裕子選手

◆比嘉真梨代(沖縄・114期)
「今回初めて参加させてもらいます。(ジャパンカップのことは)全然知らなくて、参加の話をもらったときにどういうレースなのか調べたんですけど、去年の映像を観たらお客さんもたくさんいて、すごく大きな大会だったのでびっくりして。自分がそんな大会に出られるのなら是非参加したいなと思いました。競輪のレースと違って、緊張感はそれほど感じていませんね(笑)。せっかくの機会なので、みんなで楽しめればいいなと思っています。
(競輪の補助金が色々な自転車の大会に活用されているが)地元のツール・ド・沖縄もそうなんですけど、県外とか海外からもたくさんの選手やサイクリストの方がくるので、観光も賑わうし、地元では大々的なイベントとして知られていますね。競輪の補助金が自転車を含めて、色々なスポーツの大会に使われることで、競輪のピーアールに繋がっていけばすごくいいなと思います」

比嘉真梨代選手