インタビュー

毎レース、優勝候補として活躍中の吉川誠。前S級の吉川が人気になるのは当然だが、プレッシャーや注目される中のレースはそう簡単ではない。昨年のケガからの復帰し、そこからポジティブに戦う吉川の姿は注目だ。
自分らしく精一杯に頑張るだけです!
-毎回、優勝候補に挙がりますが、プレッシャーもありますか?
「最近なかったことなのでプレッシャーですね。S級の時はのびのび走れましたけど(笑)。でも、今はそれを楽しんでいる感じですね」
-楽しめるようになったのは何かあったんですか?
「特に意味はないけど、どこを走っても、本命がついたら本命がついたなりの走りになるだろうし、そうじゃない時はそうじゃないなりのレースだと思うので、ノンプレッシャーよりもプレッシャーがある方が緊張感あっていいかなと思います」
-包囲網というか周りに注目されるレースは大変ですよね。
「包囲網は毎レースごとに感じますね。特にだんだん強くなっているのを感じます。それを攻略する楽しみは今感じています(笑)。いい経験になっていますね。どうやって走るかというのもあるし、自分の力を試せるので、ラインに迷惑をかけてしまうこともありますが、S級で自分がチャレンジャーの立場だったら、そうなるよなっていうレースだと思うので、それをどう受けて立つのかっていうのも楽しみであります。それをどう打破するかと、今考えて走れるようになってきたっていうのはありますよね。あとは年齢的な問題もあると思いますけど」
-同期の皆さんも多くは追い込みに変わったりしていますが、吉川選手は考えたりしますか?
「うーん、追い込みは性格的に向いていないと思うので、自力なら自力、自在なら自在っていう方が性格的には向いているかなと思います。トリッキーさというか、追い込みになってしまうと1つの戦法にこだわらないといけなくなるけど、自力よりにいれば色んなスタイルでいけるというか、オールラウンダー的にいけるっていうか、全部出来るのが選手的には最高だと思います。今のところは、やれる内は自力で頑張りたいなと思っています」
-吉川選手がもし前を任せるなら?
「まだA級でそういうレースもないのでわからないです」
-ないですか?
「ないですね。降級してから1回もないですね。あがってこないからしょうがないです(苦笑)。優勝しているのも、(他のラインは)2段駆けとかなんですよ。それを打破して、攻略しているので、やっぱりきついですよね。その分、自分の力で勝負出来るのでやりがいもありますけどね。1回くらい後ろから優勝してみたいですけどね、A級でも(笑)。チャンスあるかなと思っていたけど、まだないですね(笑)。でも、自分に任せてついてくれるので、それはありがたいですね。僕の自力を信頼して任せてくれる方もいるから、ついてくれる限りは自分の仕事をしたいと思っています」
-今の目標は?
「まずはS級に戻ることです。来期は戻れるけど、なんというか上を走りたいです。とにかく上で勝負したいというか、自分が1回いた位置までは戻りたいと思っています。それはケガをした時から自分で思っていることなので。前の自分のポジションまでは戻りたいと思っています。そこがスタート地点だと思っています。まだ修行しろってことだと思うので、修行します!」
-いつ、どんなケガだったんですか?
「昨年の5月に立川で落車したんですけど、擦過傷と打撲がひどくて、脱臼で、右半身がポンコツになったくらいでした。だいぶ前に骨盤も痛めていて、そこもダメージがあったみたいで、サドルにまたげないところから始まった感じでした。最初は30秒しか(自転車に)乗れなかったですよ(笑)。 …これで終わりかなって思いました。今までの自分に諦めがついた感じですね。腐っていたなって、ポジティブさのかけらもなかったなって、その部分で怪我してよかったなと思っています。自分を見つめなおせたので、決して悪いことではなかったと思っています」
-今のどんな練習方法は?
「今は引きこもって練習しています」
-言い方が(笑)。
「それしか言いようがないので(笑)。なんせ半年ほど、けがしてからは、引きこもって1人で練習しているんです。年齢的なこともあって、長い時間ダラダラ練習も出来ないから、ある程度、短時間で追い込むトレーニングが多いですね。あとはトレーニングに関しては引きこもっています。 色々と考えるようになりましたね。勢いだけではダメだと思うので」
-最後にファンにメッセージをお願いします。
「あと数ヶ月はA級で出来るだけ優勝出来るようにというのと、S級戦で優勝出来るようにという目標もあるので、そこに向けて頑張っていきますので、熱い応援をしていただけたらと思います、野次以外で。あとは、ファンの方々に支えられているって地元を走って強く感じたので、その応援が力になっているので、これからも応援して欲しいです!」
-野次ではなく応援が力になるんですよね。
「僕は競輪を愛している方は野次らないと思っているので。負けた時は負け方によるけど、でも、僕らも負けたくて負けた訳じゃないから1着を取るために走っているので。負けた時は次に頑張るって、それしか僕らには出来ないと思っています。精一杯、自分らしく頑張るだけです!」
吉川誠(よしかわ・まこと)
1981年7月5日生まれ。 練習は引きこもりという吉川選手、そんな彼の癒しの時間は? 「癒し…、うーん、なんだろう?癒し欲しいですね(笑)。 常に自転車のことを考えて生活するって感じですね。リフレッシュする時はリフレッシュするようにして。リフレッシュ方法は模索中です(笑)。ミスチルの『終わりなき旅』を聞きながら、探している最中ですね(笑)」