インタビュー

 1月26日、いわき平競輪場(いわき平記念・3日目第9レース)において、「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が初開催されました。ケイリンエボリューションは、オリンピック等の国際競技大会で使用されているカーボン製自転車を使用し、オリンピック等の国際競技大会を規範とした先頭固定競走(インターナショナル)で実施する、今までになかった新しいケイリンのスタイルです。KEIRINがオリンピック正式種目であることの周知と、オリンピック等の国際競技大会に出場する競輪選手の競技力向上、日本発祥の「競輪」を広く知らしめることを目的とした当レース。車券も発売され、大注目の中で開催された記念すべき第1回目のレースに参戦した7選手に、感想をうかがいました。


参加選手の記念撮影

カーボンフレーム+ARAYAのディスクホイール

オリジナルデザインのユニフォーム(写真は長塚選手)

指定練習の様子、スタートの確認もされた
レースプレバック

スタート

周回中

打鐘

最終ホーム

最終バック

ゴール

1着の井上昌己選手

 号砲で長塚が飛び出して、隊列は誘導以下、長塚智広、十文字貴信、稲村成浩、永井清史、井上昌己、矢口啓一郎、松川高大で落ち着く。打鐘から5番手の永井が上昇して先頭に立つと、井上も続いていく。最終ホームでは井上が永井を叩いて先行態勢に入り、永井が2番手、長塚が3番手、十文字、稲村、松川、矢口が続く。井上の先行で、隊列は変わらずに最終バックも通過して、最後の直線勝負に入っていく。逃げ粘る井上に対して、永井、長塚は伸びを欠き、5番手から稲村が大外から伸びるも、井上が押し切り1着。2着に稲村、3着は内から伸びた十文字が永井を交わして入線した。
レース後インタビュー
◆井上昌己選手
「今日はしっかりと力を出し切ろうと思っていたので良かったです。風が強かったので、後方にいると脚が溜まらないと思っていました。意外に、みんなのスタートが早くてマズイと思ったんですけど、永井の後ろだったので、一回動くだろうと。ホームから2コーナー手前まで流しましたけど、誰も来る感じがしなかったので、それなら行こうかと思って踏みあげていきました。流したときに、矢口と松川が来て2番手かなと思っていたんですけどね。でも、結果的にそれが正解でした。風が強いから、あれでは後ろは脚が溜まらなかったと思います。スピードに乗った感じはなかったけど、ずっと流している感覚で、先頭は楽じゃないけど一番有利だったと思います。展開が全然読めずに出たとこ勝負できつかったですが、1着がとれて良かったです。
 こういう競走形態があっていいと思うし、これで自転車競技が普及してくれれば、競輪界ももっとメジャーになってくれるかなと思います。違った形態のレースではありますが、(機材は)見ている方も格好いいと思うし、スピード感もいつもの競輪より出ていたと思うので、良かったと思います。(ルールは)点と点のレースなので、「競輪」とは違った予想になり、新鮮さはあると思います。これからも、もっと力をつけて良いレースができるように頑張るので応援よろしくお願いします」
◆稲村成浩選手
「風が強かったので、インコースは詰まってしまうと思ったので外を踏みました。今日のレースは主軸が井上、長塚になると思ったので、その動きだけを見て、自分は脚をためてと思っていました。ホームでは十文字君、駆けてくれよと思っていました。(2着は)たまたまだと思いますね。
 今回が初めてなので、競輪とはもうひとつ別のカテゴリーになると思います。点と点だし、国際ルールだし、牽制もないですし。お客さんも競艇やオートでいう枠や勝率など、そういう点で買うかもしれないですね。カーボンフレームは、空力もあって、違う競走形態になってくると思いますが、こうしたのも良いと思います。選手サイドでも見ていた選手から、格好良いと言ってくれました。初めて立ち上がったこのレースの最初の7人に選んでもらったことは光栄だし、42歳では恥ずかしかったんですけど、またぜひ機会があれば喜んで参加させていただきたいと思います」
◆十文字貴信選手
「(位置取りは)一番前は嫌で、2番目を狙っていました。前の人はだいたい飛びつきを狙うので、自然と3~4番手で良い位置に入れるかなと。そうしたらスタートで長塚が出たので、誰かひとり入れようと思っていました。
 7車立てというのを経験していなかったですが、後方になってもチャンスがあるというのは、なかなか魅力なのかなと思いました。一番後ろでも7番手だし、9車立てで、最終バック8~9番手になると、さすがにお客さんもダメかなと思ってしまう。買った選手がその位置だとガッカリしてしまうと思いますが、7番手ならゴールまでチャンスが広がるかなと。今回が初めてのレースだったので、ライン戦で買うことに慣れているお客さんには、分かりづらかったもしれませんが、逆に初めてのお客さんには、強い選手から買ってみようかなと思ってくれたかもしれません。今までのお客さんも大事ですし、これからのお客さんも大事だと思います。競輪を何も知らなくても、7車立てで当たったということになれば、競輪を面白く感じるキッカケになるとも思いますしね。あとはお客さんが見ていて、こっちの方が迫力やスピードを感じるのか、今までも迫力を十分感じてくれているのか。フレームについては、走っている選手としては一緒なので、問題はないですね」
◆永井清史選手
「良いところで仕掛けられたと思いますが、今日はギアが身体と上手く噛み合わない感じでした。こういうレースは、ここで仕掛けないと話にならないというところがあるので、見せ場は作れたと思いますけど、最後はちぎれてしまって…。今日のようなレース展開でも、外国の選手は250バンクでも後ろから来てしまうんですよね。
 こういった競走形態は大好きだし、自転車も大好きなので、今回のように違うフレームを使ったレースももっとやりたいと思いました。それに、こういうレースに慣れてくれば、世界でも戦えるようになると思うので、これからもっと増えていけばいいなと思います。ディスクを使ったので、車輪を使った感触も戻して、また頑張りたいと思います。レースは楽しかったので、ぜひまた走りたいですね」
◆長塚智広選手
「全員が単騎でブロックもないですけど、単騎だから仕掛けにくかったですし、飛びつけませんでした。オリンピックと同じ自転車で走るんですけど、初めて賭けの対象になったこともありますし、ファンの皆さんには競輪のライン戦ではなく、新しい個人対個人のレースで、推理の要素も簡単になっていると思います。新しいファンには分かりやすかったのではないかなと。それに自転車は見た目にも違うし、スピード感も楽しんでいただけると思います。スピードも出やすいので、スパートの距離も長くなるし、いつもと違う感じで楽しめますね。まだまだ選手も不慣れなところはあるので、レース形態も把握しながらこれからも頑張れたら嬉しいですね。こうした初のレースに参加させていただいたことは光栄でした」
◆松川高大選手
「僕は競輪一本だったので、ちょっと自転車に乗り慣れていなかった部分もあったと思います。普段はライン戦ですが、これは一人で走るわけですし、7車だと位置取りでレースの流れが決まってしまうので難しかったですね。でもこういうレースでお客さんが楽しんでくれるなら、良いかなと思います」
◆矢口啓一郎選手
「自分は復帰戦でしたが、カーボンフレームを乗り切るには、もっと体力的にも戻っていないとダメだなと感じました。練習をやって間に合わせてきたつもりでしたが、まだ足りない感じでしたね。僕は、ああいう機材だからこそ、そういうのが出てしまうと思います。競輪の自転車は逃げる感じがあるんですけど、カーボンフレームはしっかり伝わっていくし、僕もそういう風に踏んでいるんです。だからちょっと踏み切れなかったです。(ルールは)昔、そういうところで走っていたので、ある程度のイメージはありました。でも、自分に余裕がまだなかったです。過去があってこそだったと思いますが、こういうレースに選んでもらったのは良かったですし、初めてだし、良い経験ということで。これがどんどんやっていくことになれば、慣れてくるでしょうしね」