インタビュー


 第5回目のKEIRIN EVOLUTION(ケイリンエボリューション)が2月3日、奈良競輪の第9レースにおいて争われました。ナショナルチームでも活躍する稲毛健太選手が人気の中心に推されましたが、レースでは一ノ瀬匠選手が最後方から一気のスパートを見せる快走劇。後続を引き離したまま逃げ切りで、エボリューションを制しました。


レースに使用するフレーム
 レースはスタート争いを安東宏高が制して、誘導以下、安東、稲毛健太、堤洋、小川祐司、小埜正義、手島志誠、一ノ瀬匠で周回を重ねる。残り2周を通過すると、稲毛が後続を警戒しながら安東との車間をあけていく。最後方に位置していた一ノ瀬は1センター付近から上昇を開始していき、打鐘とともに前を叩いて先行態勢に入っていく。前受けの安東が2番手に入り、一ノ瀬の動きを追った小埜が3番手を奪取、稲毛は5番手まで引く。一ノ瀬は後続を離したまま一人旅の先行。これに対して最終2コーナー過ぎから稲毛がまくりを放つも、小埜も合わせてまくりを打つ。しかしハイペースで逃げる一ノ瀬を捕えるまでには至らず、そのまま一ノ瀬が逃げ切り1着。2着にまくった小埜、3着に安東が入線した。


前日の選手紹介

スタート

周回

打鐘

残り1周、最終ホーム

最終バック過ぎ

ゴール

一ノ瀬選手の勝利者インタビュー
レース後インタビュー
◆1着の一ノ瀬匠選手
「自分のレースだけをしようと、それしか考えていませんでした。ずっとバンク練習では、車輪はノーマルでしたけど、(フレームは)アンカーでやってきましたし、練習自体の感じは良かったので、あとは本番でその成果が出せるかどうかでした。今回は良かったですね。自転車は高校のときに使っていたアンカー。2世代くらい前だったのでちょっと恥ずかしいのもありました(苦笑)。でも気負うものも無く、リラックスして走れました。ルールがけっこう難しいので、(6番車で)前は取れないのは分かっていたし、どこで前を切りに行こうか、とにかく1回はレースを動かそうと、それしか考えていませんでした。出切ってからはいくしかないし、ゴール前勝負したいなと思っていたけど、後ろから車輪の音が聞こえなくて(笑)。ゴールしたときには、『あれ、後ろが離れているぞ』と自分でもビックリしました。出だしは重かったんですけど、ホームとバックで(ペースが)どんどん上がっていったので、これはまくられないかもとは思っていましたが、予想以上でしたね。競輪では先行しか頭にないし、それを基本にしていたので、あまり変わらなかったですが、かかり具合は楽でしたし、普段の競輪の333バンクなら2周前からモガキあいになるのに、今回は距離も短かったので流すことは考えていなかったです。本業の競輪でも頑張りたいと思います」


勝利した一ノ瀬選手のガッツポーズ
◆2着・小埜正義選手
「(カーボンフレームのレースを)初めて乗った割に、それなりのレースもできましたし、楽しかったです。(エボリューションが)決まってからも本業の競輪を精一杯やっていたし、特に何もせず。もちろん機材にもっと慣れていれば、もっと良かったのかなと思いましたけど、非常に良い経験になりました。これを次に繋げていきたいです。普通の競輪では仕掛けているところでも、エボリューションでは誘導員が退避してからのレースなので、ルールが難しかったです。叩きにいきたかったんですけどね。もうちょっと(誘導員の退避が早く)距離が長いほうが見ているお客さんも、走っている方も楽しいかもしれません。普通の競輪より短いし、一ノ瀬も1周ちょっとのカマシでしたからね。このフレーム、このスペックでレースをするなら、普通の競輪をするのも楽しいかなと思います。お客さんが楽しんで、車券を買っていただくのが一番の目的ですから。呼ばれたときは、また頑張りたいと思います」
◆3着・安東宏高選手
「車番が4番車だったのでスタート勝負かなと思っていました。スタートは自信があったので、うまく取れて、そこからは誘導が退避したときに、自分で駆けるか、外のスピードが良ければ1人行かせるか。そこまでの組み立てと判断は良かったんですけど、思った以上に一ノ瀬君が強かったですね。良い形で組み立てることはできたので、あとは自分の力を上げていくしかないかなと。競技のケイリンも何度か走ったことがあるので違和感なく走れましたが、こっちの方が好きな部分もありますね。もちろん競輪は競輪で好きな部分がありますが、自分は競技も好きなので、また機会があれば走りたいです」
◆4着・手島志誠選手
「今日は流れでいこうと思っていたけど、稲毛もああいう感じになってしまって。でもこういうレースも刺激があって良かったと思います。年を取るとマンネリになるところもあるので。久々にカーボンに乗りましたし、カーボンは進み方が違うし、ディスクをつけるとまた違いますね。また頑張ります」
◆5着・稲毛健太選手
「感じ良い状態で入って来られましたが、まくりだったらもう少しギアが欲しい感じでしたね。みんなより(競技用フレームは)多く乗っているので有利かなと思ったけど、まくりになるとリスクがありました…。切るところが分かっていたら仕掛けられたんですけど、誘導を見すぎてしまいました。自分の競走が出来ずに申し訳なかったです。有利な展開に持っていけませんでしたね。勝てたら一番良かったですが、何年かぶりに良い緊張感の中では走れました。悔しいですね。競輪は良くなってきていると思うので、それをこっち(競技)にも繋げていきたいと思います」
◆6着・堤洋選手
「稲毛の動きを見ながらで、(稲毛が)まくりに行くかなと思っていたけど、一ノ瀬が強かったですね。10年以上前には世界選手権に行かせてもらったりしていたので、ちょっと懐かしかったです。競技はスプリントで、ケイリンとはちょっと違いましたけど。またエボリューションに呼ばれたら出たいと思います。勉強になりました」
◆7着・小川祐司選手
「前々にいこうと思っていたけど、レースにならなかったです。中団を取った時点で、稲毛が車間をあけているのも見ていたけど、その前の安東が見えていなかったので、そこで落ち着きがなかったです。バックで踏み上げていくべきでしたね。そこだけですね、勝負所は。セッティングはそんなに悪くないので、これをまた競走に活かせるようにしていけるように。素人のレースをしてしまったので、ちゃんとプロのレースを見せられるように頑張ります」