インタビュー

いよいよ8月5日(金)に開幕を迎えるリオデジャネイロ・オリンピック。競輪界からは自転車競技トラック種目の日本代表として中川誠一郎(熊本・85期)、渡邉一成(福島・88期)、脇本雄太(福井・94期)の3名が出場する。

ロンドンに続いて2回目のオリンピックとなる中川は男子スプリント、北京から連続で3回目となる渡邉、今回が初の脇本は共に男子ケイリンに出場予定。

7月8日(金)~10日(日)まで伊豆ベロドロームで開催された「2016ジャパン・トラック・カップ」は、3選手にとってオリンピック前に参加する最後の競技大会となったが、この大会後、渡邉と坂本勉短距離ヘッドコーチに直前に迫ったオリンピックに向け、現在の心境や意気込みを聞いた。
■渡邉一成


リオでは男子スプリントに出場する中川誠一郎
─ジャパン・トラック・カップではケイリンで優勝も飾りましたが、手応えはいかがですか?
「オリンピック前の最後の大会で、絶対に勝ちたいと思っていたので満足のいく結果です。これまで自分の長所を伸ばすようなトレーニングをしてきましたが、その結果が結びついているのと、あとは自分の苦手だった部分の克服もしっかりできていると感じました。でもまだまだ満足せずに、これからオリンピックまで1ヶ月を切っていますが、もっともっと上を目指して頑張っていきたいと思います」

─自分の長所や、最も重要視している点はどんな所ですか?

男子ケイリンに出場する渡邉一成
「一番は展開をしっかり読んで、自分の思ったタイミングで躊躇なく体が反応するような瞬発力や、加速力っていうものをすごく重要視しています。今回の大会では自分のレースもそうですが、日本人全員の脚力がすごく上がっているのを実感しましたし、これからもっと日本人選手が活躍してくると思うので、東京オリンピックは期待できると感じました。東京オリンピックで日本人が活躍するためには、まずは僕らがリオでしっかり成績を残さなければいけないと思うので、まだまだ自分がやるべきことはたくさんあります」

─3回目の出場となるオリンピック。今の心境はプレッシャーのほうが大きい?それともリラックスできていますか?
「両方だと思います。3回目なのでオリンピックの雰囲気は分かってはいるつもりですが、やっぱりプレッシャーだったり自分自身への期待だったりで、少し緊張する部分もあります。なるべく平常心を保って、若い選手たちにいろいろアドバイスしながら、いい雰囲気で本番の大会に臨みたいと思っています」

─最後にリオへの意気込みをお願いします。
「実際にオリンピックまでにやれることはそう多くないと思うので、まずは自分の長所をしっかり伸ばして、本番までにできるだけ伸びしろを作ること。そして自然体のいい状態で走れるように、この1ヶ月は過ごしたいと思っています。リオで求めるのはもちろんメダルですが、過去に自分の中ですごく悔しい思いをしているので、とにかく悔いを残さないレースをしたいです」

■坂本勉ヘッドコーチ

─坂本コーチから見た中川、渡邉、脇本の現在の状況は?

男子ケイリンに出場する脇本雄太
「渡邉くんは今すごくコンディションが良くて、今回のジャパン・トラック・カップではちょうどいい具合に試せたという感じです。脇本くんはオリンピック出場が決まった4月から全ての合宿に参加して、練習的にも6月までが一番ハードなメニューを盛り込んでいたんですけど、それを彼は全てこなして、疲れがピークの状況でこの大会に臨みました。それでも自分の持ち味である先行がある程度できて、上がりタイムもまずまずでしたので状態は良かったんですけど、最後に落車してしまって。幸い大した怪我ではなかったので、うまくコンディションが戻ってくれれば大丈夫かなと思っています。中川くんは、いろいろな行事や熊本の地震等で、前半はトレーニングのスケジュールがなかなかうまくできなかったけど、6月くらいから専念できている状況です。彼の場合、これからあと一ヶ月は全て200mのフライングに勝負を掛けて、ギアなどを模索しながら、集中的にそこをトレーニングしていく予定です」

─リオではどんな戦い方を考えていますか?
「正直なところ、リオでの一番のメダル候補はやはりケイリンの2人(渡邉、脇本)なので、そこに照準を合わせて考えています。先日、リオに視察に行った選手の情報だと、リオのバンクは伊豆ベロドロームにそっくりで、(走った感触も)ほとんど変わりないということなので、そこはひとつ心強いなと。ただ、走路幅が伊豆より50cmくらい短いので、それを想定してそういう練習を取り入れていこうかなと思っています」

─チームの雰囲気もいい状態で?

ジャパン・トラック・カップで行われた
代表選手壮行セレモニー

「そうですね。ただ、選手をサポートする自分たちスタッフは、何もないのが不思議であって、絶対何かあると思って常に用心に用心を重ねていますから、スタッフだけはちょっとぴりぴりした状況でやっています」
─リオで選手たちに期待することは?

リオでの活躍を誓う中川、渡邉、脇本
「渡邉くんは3回目ですし、もう技術的に云々っていうことじゃないと思うので、あとは本当に自分の集大成というか、今までの競技生活を全てぶつけるつもりでやってもらいたいと思っています。脇本くんは初出場ですが、彼の力は世界でも認められていますし、若さをぶつけて攻めの競走をしてくれれば必ず成績はついてくると思うので、あまり着を気にせず持ち味を出すような競走をしてほしいと思います。中川くんに関しては、もう本当に(予選の)200mに掛かっているので、そこで少しでもいいタイムを出して、対戦相手の優位に立つことを心掛けて頑張ってもらいたいなと。とにかく選手たちには自分の力を信じて、出し切ってほしいと思います」
◎リオ・オリンピックの自転車競技(トラック)日程
8月11日(木)~16日(火)までの6日間
★男子スプリント:8月12日(金)~14日(日)
★男子ケイリン: 8月16日(火)