インタビュー

 今回で4回目を迎える師匠の目は、徳島県から小倉竜二選手と阿竹智史選手のコンビが登場です。代名詞となっている「ハンドル投げ」を武器にGIを2度制するなど、その鋭い差し脚は競輪界でもトップクラスとの呼び声高い小倉選手。そして、昨年6月の豊橋記念で嬉しいGIII初優勝を達成し、成長著しい阿竹選手。他地区に比べると、どうしても選手層の薄さが目立ってしまう四国地区の中で、その起爆剤となりうる2人の活躍から目が離せません。
僕が今後のGIで活躍できるかは阿竹次第(笑)。(小倉)
─阿竹選手と出会ったのはいつだったんですか?

小倉竜二選手
「阿竹が高校を卒業した後の4月くらいだったと思うんですけどね。彼は高校時代、甲子園で4番を打つくらいの選手だったんですけど、残念ながらドラフトにかからなくてね。それで、僕が通っていたジムのトレーナーが元・プロ野球選手で、阿竹もその人に世話になっていたんですよ。そのトレーナーの人の薦めもあって、競輪選手を目指すっていうことになったらしいんですけど、阿竹には(競輪選手を目指す上で)誰も頼る人がいなかったみたいで。それで、ちょうど同じ徳島商業高校出身っていうこともあって、そのトレーナーの人から頼まれて会う様になったんですよね」
─弟子入りを頼まれた時は、正直どう思いました?
「僕もまだ24~25歳で弟子を取るとかっていうことは全然考えてなかったんですけど、そのトレーナーの人には世話になっていたので、『じゃあ、面倒見ましょうか』ということで。ただ、当時は自分のこともあったので、一緒に練習には行くけども、まずは自分のことをやりながら、その傍らで面倒を見るという様な感じでしたね」
─最初に見た時の阿竹選手はどうでしたか?
「さすが、甲子園に出て4番でホームランも打ってるだけあって、身体も大きかったし、ある程度やってくれるんじゃないかなっていう予感はありましたよね。それでも、最初はフォームとかを教えるのには苦労しましたね。意外と不器用な乗り方をしてたりしたんでね(笑)」
─小倉選手は叱るタイプですか、それとも優しくアドバイスをするタイプですか?
「優しくはないと思いますよ(笑)。でも、そんなに叱ったりもしないですし。本人が自分が考えて答えを出す様に、その為のヒントを与えるという感じですかね。やっぱり、何から何まで教えちゃうと、本人の成長には繋がっていかないですから。なるべく、自分で答えを見つけられる様に、いい意味での放任主義というかね。その代わり、聞かれたことには自分なりにしっかりアドバイスする様にはしてましたけどね」
─弟子を取ったことで、小倉選手自身に変化はありましたか?
「やっぱり、それまでより練習する様になりましたよね。教える側の立場の人間が練習をサボる訳にもいかないですから(笑)。それに、基礎的なことを教えたりする訳ですから、それを身を持って教えることで自分にプラスになることもあったし、気持ち的な部分でもいい刺激になったことは間違いないかなと」
─そういう意味では、弟子を取ったのは正解だったんですね。
「最初の頃はそういうことを思ったことはなかったんですけど、今は(弟子を取って)良かったかなという風には思いますよね。まあ、そういう風に思える様になったのは、一緒に特別競輪に参加できる様になってからですけど」
─確かに、ここ最近はGIを中心に師弟参加が増えてますよね。
「やっぱり、弟子と一緒の開催だと、いつもの開催より、それだけ気持ちが入りますからね。『同じレースで走りたいな』ってね。でも、開催は同じだけど、レースで同乗する機会がそんなに多くないんですよ(苦笑)。なので、今年は連係する機会をどんどん増やしていければいいかなっていう風には思ってるんですけど、後は阿竹次第ですね(笑)」
─師匠の小倉選手から見て、阿竹選手の長所はどんなところですか?
「長所はやっぱり持久力でしょうね。逆にダッシュが課題っていうことにもなるんですけど。ただ、そこ(ダッシュ力)を鍛えれば、もっと上のクラスでも通用するんじゃないかなっていうのはありますよね。去年、豊橋で記念初優勝した時はいいスピードが出ていて、『だいぶ良くなってきたな』って思ったんですけど、最近はあんまりよくないでしょ。彼は腰が悪いから1ヶ月練習できないとかっていうこともあって、練習が出来ないとダッシュとかも落ちてしまうんでね。もうちょっと、長いスパンでダッシュ力をキープできる様になってくれればいいんですけどね」
─阿竹選手のダッシュ力強化の為にアドバイスなどはしているんですか?
「今は、練習は基本的には別々でやっているんでね。それでも、朝のバンク練習では徳島の選手がけっこう集まるんですけど、そこで一緒になったりした時には、悪いところを指摘したりはしていますね。なので、もう1回記念で優勝した頃の調子・スピードを掴んで欲しいですね。その為のアドバイスだったら、惜しまないですし。そうはいっても、僕も師匠として弟子に負ける訳にはいかないんで、頑張っていかないといけないんですけど(笑)」
─ここ最近はGIでなかなか結果に恵まれていないですからね。
「まあ、今後、僕がGIで結果を残していけるかどうかは阿竹次第ってことで(笑)。アイツは褒められて伸びるタイプなんじゃないかなという感じがするんで、褒めるところはちゃんと褒めて、プレッシャーも与えつつ、師弟連係の機会を増やしていければいいかなと」
─そういった中で、小倉選手が2013年に個人的な目標として掲げていることは何かあるんですか?
「去年はGIの決勝に乗れなかったので、今年は乗りたいですね。さらに、そこに阿竹がいれば、シチュエーションとしては最高かなと。今年は師弟揃って活躍する姿を見せていきたいと思っていますので、温かい応援をよろしくお願いします」
そろそろ師匠とのワンツーを決めたいです。(阿竹)
─まず、小倉選手に弟子入りした経緯から教えて下さい。

阿竹智史選手
「競輪選手を目指す前から通っていたジムがあったんですけど、そこのトレーナーの人に紹介してもらう形で弟子入りさせてもらったんですよね。そもそも、そこのジムには競輪選手を目指して行っていた訳ではなかったんですけど、そのトレーナーの人に競輪選手っていう選択肢もあるよっていうことで教えてもらって、それなら競輪選手を目指してみようと。それで、小倉さんもそのトレーナーの方に見てもらっていたみたいなので、紹介してもらったっていう感じですね」
─師匠との初対面の時のことは覚えていますか?
「最初はそのトレーナーの方と一緒に3人で会ったんですけど、コーヒーを飲みながら話をして。ただ、その時に何を喋ったか覚えていなくて。それくらい緊張していたっていうことだけは覚えてますね(笑)。それで、そこで弟子入りさせてもらって、競輪学校、デビュー、今とずっと面倒みてもらってます」
─小倉選手の練習は厳しいですか?
「アマチュアの時から決められたメニューをやるっていうことはなかったですね。自分からこういう練習をやりたいんですけどっていう話をしにいって、それに対してのアドバイスを貰うっていう感じで。なので、そこまで厳しいっていうことはなかったですよ」
─今でも一緒に練習する機会はあるんですか?
「今は僕は基本的には1人で練習しているんですけど、バンク練習とかで会ったら一緒にやらせてもらってます。そこでアドバイスを貰ったり、ここ最近は同じ開催に参加することも多くなってきたので、そこでアドバイスを貰ったりしています。ただ、師匠の方から声を掛けてもらうっていうよりも、気になることがあったら自分から聞きにいくことの方が多いと思います。もちろん、聞いたことに関しては、しっかりと的確なアドバイスをくれますね。やっぱり、2回もGIタイトルを獲ってる方なので、その言葉には説得力や重みみたいなものがありますし、ためになるアドバイスばかりですし、本当に感謝しています。すごくいい師匠だと思いますよ」
─最近になって同斡旋が増えてきたという話がありましたが、やはり、師匠と同じ開催では気合いの入り方も違うものですか?
「やっぱり、そうなりますよね。師匠の前で下手なレースは出来ないですから(笑)。それに、デビューしてからずっと師匠と連係するっていうことを目標にやってきて、ようやくそのチャンスが増えてきたので、自然と気持ちは入りますよね。今のところ師匠との連係は4回くらいだと思うんですけど、ワンツーを決めたことがまだないので、そろそろ決めたいなとは思っているんですけど。それが、GIの最終日の最終レースだったら最高ですよね」
─師弟ワンツー以外で、個人的な目標などはありますか?
「去年、豊橋で記念初優勝させてもらったんですけど、今年も獲りたいですよね。1回だけだと(記念優勝が)フロックだって言われかねないですから(苦笑)。あとは特別競輪の決勝に進むこと。この2つが今年の目標ですね。1年で最低でも1回は記念を獲って、コンスタントに特別競輪の決勝に進むっていうことが本当のトップクラスの証明だと思っているので、そこを目指していきたいと思います」
─最後に、今後の意気込みを含めてファンの方へのメッセージをお願いします。
「去年はケガの多い1年でもあったので、今年はまずケガをせず、1年間安定した成績を残してファンの方の期待や車券に応えていきたいと思っています。そして、トップクラスの方たちに少しずつでも近づいていける様に一生懸命頑張っていきたいと思っていますので応援よろしくお願いします」