S級に特進を果たした取鳥雄吾選手。父の背中を追いかけて、競輪選手を目指した。そして、今は雄吾選手の頑張りが、父の敬一選手の刺激にもなっている。お互いに刺激を受け合いながら、頑張りあっている取鳥親子の絆を語ってもらった。

「小さい頃から『選手になりたい』というのは聞いていたんですけど、でも、子どもの言うことだから、考えが変わるだろうと思っていたんですけど、高校生になっても『やりたい』って言うので、やっぱり性根入れて目指さなきゃいけないなと思って、やりました」

「そうですね、お互いに覚悟して、やらんとなかなか成れないですからね」

「うーん、親目線で言ったら、よう頑張っていると思います。けどまぁ、師匠なので、なかなか本人を前にそう言えないので（笑）、『まだまだ』って言って発破をかけています」

「それは『おめでとう』って言いました」

「一番高いところを目指そうと思ったら、全部まだまだ足りないので、今から本人がS級を走って肌で感じて、何が足りないのかを、勉強していって欲しいです。ここからは本人の問題ですからね」

「はは（笑）、僕の方がシャンとしなきゃいけないような、今は、僕の方がやらされよるみたいな、精神的にそんな感じです（笑）。でも、嬉しですね」

「一緒にやっています。午前中は 街道をメインですね。昼からはバンクに入って、岡山の若い子らと一緒にやっているみたいです」

「せっかくなったからには、一番高いところを登れるように頑張ってほしいですね」

「そうなってほしいですね。安心して任せてもらえる選手に、そうなってほしいですね」

「うーん、どこまでいけるか、まぁ、しつこくしがみついて（笑）、しつこいオッサンを目指して頑張りたいと思います」

「それはなりますね！」

「ちゃんと走れるのかって、もう、運動会を見るお父さんの心境です（笑）」

「やっぱり緊張しますよ。見ながら、ドキドキしています（笑）」

「競走に来て皆とレースを見よったら、平静を装っていますけど、もう（心臓は）バクバクしていますよ（笑）。もう、後から人に結果を聞く方が気楽なくらい（笑）」

「まずは無事にゴールしてほしいというのがありますし、あの子は先行でいきたいって言ってやっているので、仕掛けるところで仕掛けないと。レースなので、後方にされる時もあるけど、やっぱり、きちっと仕掛けられるような。あとは結果はついてくるものだから仕方ないですけどね」

「それは、ありますね。そういう時は、帰ってきたら、ああだった、こうだったっていう話はしています」

「ちょっとずつ活きていると思うんですけどね。言って、いきなり出来ることではないと思うので、ちょっとずつ階段をあがっていってくれればいいですね」

「でも、あれはその時じゃなかったんでしょうね。すぐに特進するチャンスもあったけど、そこで出来なかったというのは、足りないところがあって、まだ、その時じゃないって思って。本人にも『今じゃなかったんじゃ』という話はしました」

「はい、しますよ」

「なっていますよ。僕がやれ、やれって言っても、『そしたら、親父は何してるんだ』って言われたらね。自分が言う手前、自分も引っ込みがつかなくなって、やらされよるみたいな（笑）。けっこうしんどいですけど、楽しいです！
あの子らくらいの子と一緒に走ったりしていますからね。ちょっとだぶらせながら、笑われんようにと思って走っています」

「気持ちだけ（笑）」

「親子で一生懸命、いけるところまで頑張っていきます！」

「もう保育園の時から、選手になろうと思っていました。父みたいになりたいって思ったのが選手になろうと思ったきっかけですね。父みたいになるにはどうしたらいいかなって思った時に、じゃ、選手になろうと思いました」

「なんか僕の中で父が恰好よかったんですよね。きっかけは父みたいになりたいと思ったのが大きかったですね」

「はい、1回も変わらずでしたね」

「高校生になる時に、自転車競技をしていた方がいいのかなと思って、『選手になりたいから、どうしたらいい？』という風に相談したら、『卒業してからでも大丈夫だから自転車競技しなくてもいいよ』って言われて、本格的に乗り始めたのは高校2年の夏くらいですね」

「アマチュアの時は師匠も父も一緒みたいな感じでした。なかなかタイムが出なくて、怒られてばっかりだったんですけど、選手になってからは、自転車に乗ってない時は父で、練習の時は敬語で話すから、今はいい感じに切り替えが出来ていると思います」

「別々にレースダイジェストを見たりするんですけど、夜に『今日の○○さんのレース見た？』って僕が聞いて、父からの目線から見たレースとか、こういう風に逃げたら先行しやすいとか、そういう話は最近はけっこうしていますね」

「『おめでとう』って言ってもらいました。『して当然じゃ』くらいは言われるのかなと思っていたんですが、けっこう褒めてくれました」

「そうですね。もう褒めてもらえることはほとんどなくって、レースから帰ってくるとダメだしばっかりだったので、やっとちょっとは認めてもらえたかなと嬉しかったですね」

「僕はレースが下手で、自分で厳しくなるような方向にもっていっているので、それはこういう風に走ったら楽だとか、父もずっと先行していたから、先行選手の目線で話してくれるので、すごく為になります」

「先輩たちからも（父の最近の）レースが変わったなっていう話はされますね。『親子でいい風になっているな』って言われたら、僕が頑張ったら父にもいい刺激になるのかなって思うと嬉しいですね」

「僕もダイジェストを見ていました。ちょうど僕は平塚に参加していて、先輩たちと見ていたんですけど、色んな先輩に『親父さん先行しよるが』って言われました（笑）。僕も最初は『あれ？　これ父さんかな？』ってびっくりしました！（笑）　もう僕の刺激にもなりました!!」

「今の戦法でしっかりS級1班までいきたいですね。やっと先行にこだわってみたりとか、先行で勝ちたいと、そういうのが自分の中で見えてきたので、しっかりそこをもっともっと磨いて、上位で戦えるように。少しずつですけど、同期が強いので、なかなか追いつけないですけど」

「いえ、吉田（拓矢）とか新山（響平）さんとか同期でも1個、2個も頭が抜けている存在がいるので、そこに比べたら、僕なんかがくっと落ちる部分があるから、しっかり認めてもらえるように頑張っていかないとなと思っています。そう（7月の）平塚FIを走ってそう思いました」

「初日もけっこう構えちゃったし、準決勝もすんなり駆けて5着だったので、あれで3着に残れるようにしないと、先行するだけって思われても、それはちょっと違うなって僕も考えているので。やっぱり理想は高くもっていないと、そこまで出来ないと思うので。今、出来る、出来ないを別として、高い理想を持って先行していきたいと思います。
平塚から帰ってから、父とも話したんですけど、最終日もけっこういい感じで逃げれたんですけど、でも、あれじゃ、まだまだだよなって話をして、もっともっと頑張らんといけないですね。平塚は、同期の堀内（俊介）さんと一緒だったので、2人で『僕たちもっと頑張らないといけないですね』って話をずっとしていました」

「突き抜けたのが何人かいるから、いい目標になるし、やっぱり負けたくないし、いい影響を受けてます」

「はい、GIで準決勝まで行っているし、僕があの舞台にいてもあれだけのパフォーマンスが出来るのか考えてしまうけど、でも、やっぱり早く行ってみたいですね。行ってみないと、自分がどれだけ出来るかわからないし、早く出れるようにと思っています」

「いやー、僕はノミの心臓なんで、どうでしょうか（笑）。先輩にそうしょっちゅうそう言われます（笑）。
やっぱりテレビで見ていた選手と走れて楽しいです。だんだんそういう選手と走れるんだなって、今、楽しいです。特別も早く出れるように頑張りたいですね」

「アドバイスとか色々と声をかけてもらったりとかします。それは、父が選手というのも大きいですね。父の同期の選手とか声をかけてくれて、色々と教えてもらえるので、それはすごいありがたいですね」

「はい、流れはいいと思うので、しっかり、その流れにのれるようにしたいですね。見た目は頼りないと言われるですけどね（笑）」

「アマチュアの時から変わらないんですよ。街道練習して、バンクに入って練習する、それが変わらずです。それにプラスして、山本奨さんや直さんについて練習して、色んな話を聞いています。2人ともすごく上手に走るので、その話を聞いて、こういう風にしたらいいんだとか、そういうことを考えながら走るようにしないといけないですね」

「しっかり自分の力を出して、先行で勝てるように頑張ります！　もう今はそれだけです!!」