インタビュー

600勝達成インタビュー
一つの勝利から、600の勝利。更にその一つの勝利へ。
お客様の笑顔の為に自分のスタイルを追及する。
村上義弘 京都 73期
村上義弘が2018年4月14日、武雄記念競輪準決勝にて通算600勝を達成した。1994年4月9日に小倉競輪で初出走し、最終日の1994年4月11日に初勝利を挙げた。初勝利からほぼ24年で600勝を達成した。勝率は3割を超えている。 村上イズム、魂の走りと言われるものは一つの勝利の積み重ねの賜物だったのだ。
ファンの方が熱い気持ちで車券を握りしめるレースをしたい!
-600勝おめでとうございます。
「そうですね。600勝とか、それはひとつの区切りとして嬉しいとは思うんですけれど、それを目標としてきたわけでもなかったし、ひとつひとつ目の前のレースを頑張ってきた結果なので、これからも同じ気持ちで目の前のレースをしっかり頑張っていきたいと思います」
-600勝まではどんな道のりでしたか?
「まあ気が付いたら、という感じですかね。振り返ってみたら、ああこんなに勝ち星を積み上げられてきたのかっていう感じですね」
-どの選手よりもファンの声援が多いのは村上選手の特長だと思うのですが、そのあたりはどのように感じられています?
「そうですね、逆にファンの皆さんが大きな声援を送ってくれるから、今頑張れていると思いますし、これからも皆さんに喜んでもらえるようなレースがしていければなと思います」
-さて村上選手の考える、これが自分の競走だというものはありますか?
「それは決まった勝ちパターンとかではなくて、どんなレースでも自分自身が納得するのは当然ですけど、見てくださるファンの皆さんが熱い気持ちで車券を握りしめてくれるような、そんなレースができればと思います」
-それは自力でも、番手でも、3番手でもいつでも変わらないという感じですか。
「そうですね。どの位置でも、ファンの皆さんがなんとなくでも村上らしいなと思ってもらえたらいいと思うんですけど」
-それを確立するまでがすごく大変だったと思いますが、そのあたりは?
「もう最初はただがむしゃらに取り組んでいって、いつの間にかそうやってファンの皆さんが応援してくれていました。そういう自分に期待してもらっていることをとにかく裏切らないようにというか、もうそういう気持ちでしたけどね」

先行する村上義弘
-近畿勢は村上選手を中心としてすごくまとまっていると思いますが、そのあたりはやはり村上イズムがあるからでしょうか?
「いやもう村上イズムというよりも、本当に近畿の選手一人一人がすごく個性に満ち溢れて、素晴らしい選手ばっかりなので、一人一人が自分の個性を作って頑張ってくれたらいいと思うんですけど」
-村上選手は勝っても渋い顔をしている時がありますが、そういうときはなにを思っているときなのでしょうか。
「常に手が届きそうで届かない自分自身の理想の勝ち方を考えています。やっぱりそれはなかなか掴めるものでもないし、すぐに掴めてはいけないものだと思います。昔に比べたら脚力は当然衰えているんですけど、それでも自分の理想というのを常に一歩先において頑張りたいなと思いますけど」
-今日(4月25日松戸FI)のレースも、1周先行逃げ切りと本当に素晴らしいですね。ファンに感動を常に提供していると思いました。
「二日目の準決勝は、精一杯やったんですけど、結果として残念な結果(5着)になりました。その分も少しでもファンの方に喜んでもらえるようなレースをしっかりしたいなと思っていました」
-次の目標は?
「もちろんこのあと日本選手権競輪が直後に控えているので、まずは目の前の日本選手権競輪に集中して頑張ります」
-2019年のS級S班復帰をどのように考えていますか?
「結果としてひとつひとつ頑張っていくなかで、それが実現できれば自分にとっても素晴らしいことだと思いますけど、まずは本当に目の前の一つ一つをしっかり頑張っていければと思っています」
-今の若手選手に一言伝えたいことはありますか。
「若手というよりも、自分自身がやっぱり小さいときに競輪を観て、本当に競輪に魅せられました。今、その魅せられた競輪を自分もしていきたいと思うし、競輪選手がそれを思って走っていけば良いものができるんじゃないかなと思います」
-やっぱり観て熱くならないとですよね。
「そうですね。本来やっぱりスポーツはそうあるべきだと思いますし」
-休みの日はなにをしていますか。
「丸々一日休むことはほとんどないですけど、去年の秋くらいに家族が『ロードレーサーが欲しい』というので家族の分4台買い、京都の北の方にある丹後半島に家族旅行に行きました。普段、自転車に乗っているときは苦しいことばっかりというか、思うようにいかないことばっかりですけど、久々に自転車に乗って晴れやかな気持ちになって楽しかったですね」
-競輪選手は大まかに2つのパターンがあって、一つは「自転車が好き」という選手と、「競輪は仕事」という選手がいると思いますが、村上選手は自転車が思い切り好きな選手だと思うんですけど、いかがでしょう。
「もう自転車ごと好きにならないとやってられないと思います。競輪だけじゃなくて、自転車ごと好きにならないと壁にぶち当たったときとか、(練習などに)取り組めないと思います。でも競輪選手を辞めたら乗れるかどうかは(苦笑)」
-マウンテンバイクはまだ乗っているのですか?
「まだ走ってますね(笑)。トレーニングも含めた気分転換ですね」
-ファンにメッセージをお願いします。
「本当に年々、村上に期待してもらっているレースっていうのができなくなってきているとは思います。でもそのなかでも必ずひとつひとつのレースにベストを尽くして、一瞬でも熱くなってもらえるように、今後もそういうレースがしていけるようにしっかり頑張っていきたいと思います」
村上義弘 (むらかみ・よしひろ)
1974年7月6日生まれ 43歳
マティエス・ブフリ選手から尊敬の念を込めて「レジェンド」と呼ばれている。