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佐藤慎太郎  福島 78期
近況の成績が良いだけではなく、その内容に注目した。
とにかく差し脚が抜群!
その鋭さが光っているのだ。成績は直近の川崎GIII以外は今年に入り決勝を外していない。また全日本選抜GI決勝2着は上手く道を見つけて突っ込んできている。
その好調の秘密?を聞いてみた。
大ベテランの差し脚が目立つ近況成績!
-近況のレースではタテ脚の鋭さが光っていますね。
「そうですね、調子はいいです」
-好調の理由はありますか?
「2年くらい前から先を見て練習するというか、目先のレースで調整とか入れないような感じで、それで2年目、3年目に入っています」
-それがいい方向に向かってあがっている?
「そうですね、レースが続いても脚が落ちないというか」
-練習方法的には持久系、スプリント系はどちらをメインにやっている感じでしょうか?
「持久系の練習はほとんどしていませんね。もうスプリント系だけです。もともとスプリント系が多かったんですけども。ちょっと年齢的にも疲れが取れにくくなっていた時期でもあったので、根性の練習、身体はきついけどもう1本やらなきゃとか、今日は5本きっちりこなすとかをやらなくなったということですね」
-身体に合わせてですか?
「無駄な練習も若い頃は多かったと思うんですよね。けれど、若い時は体力もあるし、無駄な練習をしても力になったと思うんですけど。そういうのが、きつくなってきているので、自分の身体と相談してやっているのがよくなっているんだと思います」
-ウエイトは?
「ウエイトもやります」
-ムリせずに?
「ムリせずにというより限界まで追い込まない感じですかね。若い時は限界まで追い込んで超回復を待つっていう感じでしたけど、でも、今は限界まで追い込んじゃうと力もつかないし、疲れも取れないみたいな感じになっているような気がしたので」
-なかなか超回復が難しい?
「超回復しないですね。クタクタになって、1日、2日休んでも強くなっている感じはしないし、疲れは取れている感じもないので」
-レースが立て込んでくるときついですか?
「レースはそんなに疲れないんですよ、若い頃から。練習がきついから、レースで走っていた方が逆にいい練習ができるんじゃないかと思ったんです」
-レースですが、少し前は前次第(先行選手)という感じもありましたが、今は前次第ということもないような気がしますが、その辺はいかがですか。
「なんというかゴール前に余裕があるので、ある程度コースがあれば入っていける感じはあるんですけど、でも、やっぱり前の選手がいいレースをしてくれないと突っ込むコースもないですし、前の選手が仕掛けてくれないとどこも踏めないし。前の選手が仕掛けてくれてなんぼってうのはありますね。
 だから、前の選手に仕掛けてもらえるかは後ろの選手の気迫が伝わってないとダメだと思っています。そこらへんがテーマというか1戦1戦を。若手じゃないけど、自分の存在をアピールしないといけないですよね」
-今の調子からするとGI優勝も見えてきていると思いますが?
「そうですね、獲れたらいいなという感じではなくて、獲りたい! という気持ちになってきていますね。練習もいい感じになっているし、いい循環できています」
-さてダービー直前ですが、新田祐大選手と連携すると思いますが、どうですか?
「川崎GIIIに深谷(知広)もいましたが、ナショナルチームが力をつけてきていると思うので、さらに新田のダッシュがすごくなっているかと思うと恐怖ですね」
-佐藤選手でも恐怖ですか?
「恐怖ですよ。新田と一緒のレースだと(前日)寝れないですから。新田のダッシュに置いていかれる夢を見ますから。そういうレベルです」

4月9日松戸FI決勝。
海外勢に負けない差し脚で3着。
-ダービーは33ですが、その辺は?
「1本前に松戸FIを走って、予行練習ができたような感じでラッキーだったなと思います」
-海外選手と対戦して、よかったですよね。
「いい感じで突っ込めていたし、よかったと思います」
-今年の目標はどこにありますか?
「まだGIが1本しか終わってないですけど(4月26日現在)、賞金ランキングでいいところにいるので、最終的にはグランプリに向けてということになるんですけど、目標と言ったら何回もGIの決勝に乗りたいですよね」
-今の調子からいうと実現しそうですね。
「調子もなんですけど、流れもいい流れが向いてくれないと、いくら調子がよくてもダメだと思うので。川崎GIIIも5着5着7着2着ですから、調子がよくても勝てないと思うので、やっぱり色んなことが噛み合うように。噛み合うようには自分の一戦一戦のレースが元になっていると思うので、1レース1レースを大事にと思っています」
-最近の北日本の若手についてはいかがですか?
「スピードのある選手も出てきて、今の競輪に合っていると思うので、いいんじゃないですかね。楽しみでもありつつ、自分の脚も作らないといけないし、(新山)響平も強いし、響平の後ろなんかは楽にまわれる位置ではなくなってきているので、その辺も考えて脚を作らないといけないですよね」
-佐藤選手は北日本のナンバー1の番手選手だと思いますが?
「うーん、どうなんでしょうねって思いますけど、僕も若くないですからね。でも、年齢で限界っていうのはないと思っているので。ボディービルダーでも年取った人でもチャンピオンとかいるので、そういう気持ちでは負けないようにしていこうとは思っています」
-競輪を盛り上げるためにも、佐藤選手に頑張ってもらわないとダメですからね。
「そうですか? ちょっと頑張ります!
 ファンの方も僕が弱っている時でも『またGI獲ってよ』とかって言ってくれていたので。ずっと、そう言い続けてくれる方もいるので、そういうファンの皆さんのためにも頑張りたいですね」
-今だと、新田選手や脇本雄太選手を差せばいいだけですから。
「そうなんだよね(笑)」
-それを差す脚はあると思いますが。
「最近はサラ脚でまわれた時とかムラがなくなってきていますね。コンスタントにどのレースでも突っ込んでいける脚はあるかなと思うので、道中はなるべく脚を削られないようにとは気を付けています」
-ダービーもまずは決勝を目指して頑張ってください。
「応援してくれる人のためにも頑張りたいですね!」
番外編
-若い頃は多趣味な佐藤選手でしたが、今の趣味は?
「若い頃は10の趣味を持つ男と言われていたんですけども、今は趣味はないです。全部やめました。やめたというかやっている時間がないですね。若い時も競輪を生活の中心に持ってきてはいたんですけども、最近は完全にそういうスタイルになりましたね。遊びもせず、ただ黙々と競輪の練習をしています。たまーーに、半年に1回くらい麻雀をするくらいですね。そんなになってしまいました(笑)。ちょっとプロフェッショナルになってきたかなと思います、23年目にして!(笑)」