三宅達也が好リズムを刻んでいる。今年は2月の西王座戦でビッグ初優出、7月寬仁親王牌では予選を連勝で準決勝に進出するなど上位戦でも活躍している。10月の千葉記念決勝で見せたように、昨年から着手してきた新スタイルも定着し、タイトル戦線を今以上に賑わしてくれそうだ。

　直近4カ月の集計で勝率43％、連対率53％と、三宅が冴えに冴えている。今までは好不調の波が大きかった印象もあったが、破壊力ある捲りを最大の武器に、近況は安定感も加わってきている。
「成績も安定しているので、今年は良いと思っていますね。でも要因という要因は見当たらないんですよ。練習もずっと変わっていないし、やっていることも変わらない。良いときと悪いときの波はどうしてもあるので、今はたまたま良い流れが来ているんだと思います。3月にギックリ腰をしたことはあったんですけど、夏くらいに力が入るようになってきてからは、ずっと安定していますね」
　謙虚に「良い流れ」を強調する三宅だが、もちろん流れだけではない。昨年から続けてきた試行錯誤が、ワンランク上の成績へと繋がっていったことは間違いない。
「昨年の秋くらいから、位置取りに気をつけだしたんですよ。ギアに関しても、そんなに変わっていないんですけど、今年のはじめに4.08を使っていたので、そこからは一個あげていった感じですね。ギアは、練習でもレースギアをかけてやっていたんですけど、レースの方で軽く感じだしたんですよ。それで練習の感じに近づけようと、僕の感覚で一個あげました。最近は4.08とか17を使っていて、ここ3～4場所は17でいってますね」

　確実に進化を続けている。10月の千葉記念では、地元南関勢が5名決勝に進出して盤石のラインを形成するも、三宅はイン粘りを敢行する。番手を奪取すると、マーク小川圭二の追走を振り切り、09年2月の奈良以来となる記念優勝を達成した。
「あのときは、地元があれだけ並んでいましたからね。本当は僕だって分断はしたくなかったんですけど（苦笑）、でも勝つためには、あそこしか行くところがなかったですから。ズルっと引いていったら、海老根（恵太）が番手から出ていくだろうし、そうしたら絶対に僕の優勝はなくなるので、だったらインで粘るしかないなと。あそこは初めから狙っていきました。番手を取り切ったのが、最終3コーナーくらいで、すぐに外から稲村（成浩）さんが捲ってきたのが見えたので、すぐそのまま出ていきました。だから、全然（番手を）取り切った感じは無かったんですよ。ただ必死で踏んでいった感じでしたね」
　シビアなレース運びが光った一戦だった。今まで以上に、よりどん欲に勝利を目指す、三宅のスタイルがそこにはあった。
「新境地というのか、勝つためには何でもしないといけないのかなと思っています。大きいギアをかける前も、こういったレースはちょこちょこしていたので、そこまで目立っていなかっただけだとは思いますけどね（笑）。でも、あそこで引くことは出来ませんから」
　もちろん、今後目指すところはGIでの今以上の活躍だ。同県の後輩の快進撃も三宅にとって大きな刺激になっている。
「強くなった、という自分の中のイメージや感覚はまだないんです。だって、もっと強くならないと、もっと上では戦えないわけですからね。だから全然、満足もしていないし、まだまだ頑張らないといけないいう気持ちしかないんです。柏野（智典）と（岩津）裕介もGIの決勝に乗ったので、最近はさらにやる気が出てきました。身近な後輩からそういった選手が出てくると、自分も頑張らないといけないなと思いますからね」

　今年のGI戦線では、準決勝に進出するものの、あと一歩で決勝を逃してきた。この一歩を埋めるべく、三宅の精進は続いていく。
「次の目標はGIの決勝に乗ること、それがどうしてもほしいですね。そのためには勝てる脚力をつけないことには、どうしようもないので、そこは頑張って練習するしかないです。今のままでは、『まだまだまだまだ』足りないですから（笑）。準決勝まではちょこちょこいけるんですけど、なかなか乗り越えることが出来ないので、新境地のニュータツヤを出さないといけないところだと思っているんです」
　今年も残すGIは競輪祭の一つとなった。ニュータツヤの躍進に、大いに期待したいところだ。
「競輪祭がまだ残っているので、裕介もグランプリがかかっているし、柏野もダービーの特選の権利までもうちょっとなのかな。だから、みんなで頑張ろうや！と話しているんです。いつもハラハラさせるようなレースになりますけど、一生懸命頑張りますので、応援してください！」