ダービー、共同通信社杯と連続で優出を果たした原田研太朗。ダッシュ力を活かした競走でファンを魅了している。
「四国を引っ張っていく!」その気持ちや今の目標、ファンへの気持ちを聞いた。
四国勢を盛り上げていくためにも、自分も先頭を切って頑張りたいです!
第68回日本選手権競輪決勝
先行する(8)原田。最終ホーム
「もともと軽いギアが好きなので、今年に入ってから昨年よりはいい感じがしますね」
今年前半を振り返って、原田研太朗はそう言った。
「ギア規制後の最初の全日本選抜は不甲斐ない成績でしたが、それもあって、より一層ダービーは頑張ろうって気持ちも強かったです。ダービーは、1ヶ月くらい空いたので調整を上手く出来たなと思います。長い大会だったので、しっかり休養を取りながら走りました」
ダービーでは一次予選は捲って1着、二次予選は先行し1着、準決勝は追い込んで2着。初めての特別の決勝戦に勝ち進んだ。結果は先行し、9着だった。
「決勝戦は緊張もありましたけど、やっぱり、すごいメンバーなので楽しみながらレースは出来たと思います」
4月・共同通信社杯準決勝。
(7)原田は、レース後に
「渡部哲男さんがずっと四国の前で戦ってきたのを見てきましたから、哲男さんと決勝に乗れてよかったです」
初めての特別決勝進出が追い風になったのか、次のビッグレース・共同通信社杯でも快進撃は続いた。
「共同通信社杯は、オール予選スタートで5着まで勝ち上がりというのもあったし、単騎というのもあったので、そこで自分から動けたというのは大きかったですね。脚を確かめる意味でも、初日が一番僕の中ではキーポイントでした。単騎ですけど、自力での1着だったので、それが大きかったですね」
一次予選は、深谷知広も含め単騎が4名もいる難しいレースだったが、土屋壮登の先行を後方8番手から豪快に捲っていった。土屋の番手の芦澤大輔が牽制しながら番手捲りを放ったが、それを乗り越えての1着だった。
「二次予選も準決勝も、展開もありましたけど、1着を取れたので悪くはなかったです。けれど、決勝になったら、ダービーと同じで自分らしい競走が出来ていないと思います。勝ち上がりまではいいですけど、決勝も大事に行かなきゃいけないと思うので、獲るべきところで獲りたいって気持ちはありますね。それが強く出過ぎてもダメですし、いい意味で、いい緊張感を持っている時がベストな状態なのかなと思います」
以前、他の若い時から強かったベテラン選手が『若い時はいつでもタイトルなんて獲れると思っていたのに、…特別優勝って難しいよね』と言っていた。
原田の言う通り、獲りにいくという強い気持ちと、そのせいで気持ちが空回りしないように抑える気持ちというかビッグ決勝の空気、レースへの慣れも必要になってくる。特にベテラン選手が強い現在の傾向としては、本当に一瞬の判断が必要になってくる。原田の瞬発力があれば、そのタイミングを見極めていけるだろう。
原田にはタイトルホルダー小倉竜二選手という先輩がいるのも心強いのではないだろうか。
「そうですね、特別も獲っている先輩なので、色々とアドバイスをいただいたり、一緒に練習もさせてもらっているので、自分にはいい刺激になっています」
原田の活躍により、四国勢の選手に活気が出てきている。
「四国は自力が少ないってよく言われますけど、でも、ギア規制がかかってきて、四国勢は盛り返してきているのかなと思います。自分はたまたま乗っただけなので、先輩のレースを見て、僕ら後輩は育つので、それは毎日見て勉強していますね」
先輩からの期待の声も大きい。
「死にに行く競走はたまにはいいと思うけど、後ろの選手からしても最後までもつように駆けてほしいって言われています。お客さんからしてもラインで買ってくれる人が多いので、そういう意味では自分が残るつもりでは駆けていますね」
今まで四国勢は自力選手が少ないと言われてきたことは、プレッシャーになったりしないのだろうか。
「いえ、そこはあまりプレッシャーは感じなかったですね。自分は自分なので、あまり人に左右される感じはないですね」
「性格はマイペースですね。そこはいい意味で捉えています(笑)」
周りの声に左右されない、マイペースは言い換えれば性格の強さとも言えるだろう。
原田は、開催中に髪の色を変えることがあるが、これも原田らしい思いが込められている。
「僕が変えたいのもありますし、それも一つのファンサービスかなと思って。それでお客さんの前に出れたら面白くないかなって思っています(笑)」
原田の走りと気持ち、それがファンに伝わる。今、原田を応援する声がとても大きい。
「ファンの皆さんの声援、それが力になっていると思うので、『頑張れ』って言われると、やはり頑張りたくなりますからね。
四国は特別にいっても、参加選手が少ないですし、追い込みの人の方が多いので。追い込みの人たちは他の地区に比べても遜色のない力を持っている人なので、そうなると前の僕らが頑張っていくのが、後ろが来てくれる条件かなと思います。
今後の目標は、一戦一戦大事に走りたいなと思います。安定感という意味では全然ないですから。今は、特別が終わった後の開催の成績があまりよくないので、決勝に乗ったし、次も頑張ろうっていう気持ちはもっておきたいなと思います。
一戦一戦頑張って、調子良し悪しじゃないけど、一つ一つ頑張ることが今は一番ですかね。
これから四国勢を盛り上げていきたいと思うので、自分も先頭を切って頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします!」
体格はけっして恵まれた方ではないが、その身体からパワー溢れる走りが、さらに磨きがかかっていくのは間違いないだろう。
原田研太朗 (はらだ・けんたろう)
1990年9月16日生まれ。24歳。身長164cm、体重69.3kg。最近の練習方法は「最近は、基本的に競輪場が多いですね。特別前も大まかには練習を変えないつもりです。普段通りに臨んで、どれだけ自分の力を出せるかだと思うので」