インタビュー

岩津裕介が初S級S班になってから半年以上が経った。この半年を振り返って、岩津は結果が出ている部分と苦戦しているところもあると語ってくれた。岩津の目指す先はいつも上にある。そのために苦しくもいばらの道を進む覚悟、また、ファンへの想いを話してもらった。
もう1回グランプリに出たいっていう気持ちは強いです
「今年自体ちょっと、特別競輪でなかなか苦戦している感じですね」
 2015年前半を振り返ってもらうと、岩津裕介は少し悩んで言葉を選んだ。昨年はGI、GII競輪はグランプリを含めて9回中4回決勝戦に乗っている。それに比べると今年は高松宮記念杯だけだ。
「仕方ないところかなと思うところはありますね。地区的なバランスが、人数が違い過ぎて、ちょっとラインで戦うのは難しいですよね。
 いつも、いつも有利に運べるのは少ないので、どちらかと言えば運がないと結果を出すのは厳しいので、それを考えると順当は順当なんですけど。いや、でも今年に関していえば、ものに出来るレースはしっかり勝ち切れているところはあるので、その辺はいいのではないかなと思います」
 特別競輪の出場選手一覧を見ると、一目でわかるほど、他地区に比べて人数の少ない、先行選手の人数も少ない…。  基本は追い込み選手の岩津だが、単騎を選択することも少なくない。
「ある程度、自分で勝負していかないと、やはり中国地区に先行屋が少ないですからね。誰でもいいからつけますではね。出来たら、やはり強いラインで走りたいので。なんというか、そうしていかないと自分の力もつかないですし。  勝ち上がっていったら、余計に厳しいですよね。ラインを組む人がいなくなってくることが、ほとんどなんで。だから、単騎っていうのは自分の中で普通なんですけど。
 追い込み一本で勝負したら、他の地区の追い込みには勝てないので、やっぱり、自分でも動いていくっていうところがないと、同じようなことをしていても厳しいですからね。3番手を回った方が楽なんですけど、それは…あんまりどうなのかなっていう自分の中でもわからないところなんですけど…」

第66回高松宮記念杯競輪決勝の岩津
 単騎の時はまず、どんなことを考えてレースを組み立てるのか聞いた。
「最近は、自分の中では4日間先頭で戦うっていう、そのくらいの気持ちを持って、開催に挑んでいます。
 レースは、あんまり読まないですね。もちろん考えるんですけど、あんまりコレっていう風には決めないって感じです」
 レース中、その場、その場の状況に応じて、反応し、動いているということだろうか。
「そうですね。たぶん、他の皆そうだと思うけど、レース中に考えていたら、身体が遅れますから」
 中国地区に若手先行選手が少ないのは昔から言われており、他の中国地区の選手たちからも、同じような発言がよく聞かれる。
 岩津は、若手選手に発破をかけたりはするのだろうか。
「うーん、発破になっているかはわからないけど、気がついたら、けっこうまぁ、話はしますね。…期待は皆にしているんですけど、なかなか期待に応えてくれそうな選手が少ないので(苦笑)」
 岩津の求めるところは低くない。特別競輪で一緒に勝ち上がり、一緒に強くなっていこうとする選手を求めている。
 その苦しい中でも昨年は、グランプリ出場を果たした。
「運がよかったですね、いい流れだったと思いますね。今年もいい流れなんですけど」
 昨年グランプリに出場して、今年のグランプリへの思いは強くなったのだろうか。
「昨年のグランプリは落車したので、余計に何というか、迷惑をかけた分、次はいい成績を出して、応援してくれる人に恩返ししたいっていう気持ちが強いので、そういう気持ちは強いですね、もう1回出たいっていう気持ちは強いです」
 そのグランプリに出るためには、まず、GIの優勝か、GIで活躍しないとグランプリにつながっていかないので」
 今年の残りのGIはオールスター、競輪祭がある。岩津の現在の賞金ランキング11位(8月4日インタビュー現在)と、十分にグランプリを目指せる位置にいる。
「そうですね、難しいですけど、簡単じゃないけど、それがないとグランプリには出れないと思うので、頑張りたいですね」
 グランプリも目標だと思うが、大きな目標は?
「日本一ですね、賞金王になりたいです。GI優勝と賞金王って、ちょっと欲張りですね(笑)」
 と、岩津は笑ったが、真剣に頂点を目指していくという強い気持ちは伝わってきた。

 寬仁親王牌では、同期の園田匠の優勝の栄冠に輝いたが、それも強い刺激になったそうだ。
「それは刺激になりますよね! 園田もはまったら、あのメンバーでも勝つ実力はもともとあるので、それが来たって感じだったんですけど、それをしっかりモノにしたんですごいですよね」
 次は岩津がその勝機を狙って?
「そう出来たらいいですよね(笑)。先はやっぱり、ちょっとわかんないですからね。僕よりも強い選手はいっぱいいるので、順番が回ってくることは少ないですけど、不可能だとは思ってないので。今年に関しては勝ち切れているし、勝てる展開をしっかりものに出来る準備はしておこうかなと思います。しないといけないって感じですね。」
「オールスターでファン投票8位に選んでいただいて、すごく感謝しています。まだ全然結果が出てないんですけど、大舞台で恩返しが出来るように! 優勝をみたいって言ってくれる方のためにも、そういう期待に応えられるように頑張りたいと思います!」
 目指す高みを見つめ、岩津の挑戦はまだまだ続く!
岩津裕介(いわつ・ゆうすけ)
1982年1月7日生まれ。身長169cm、体重78kg。「特別で(ライン的に)苦しいのはわかっているので、普段はそこは気にしないんですけど、でも、その分、勝てた時は嬉しいですね。頑張ります!」