インタビュー

佐々木則幸 高知 79期 S級1班
セッティングとポジション変更でひと筋の光明
 光が見えないからこそ、思い切った策を打つ。10月9日に決勝戦が行われた岸和田記念の4日間、佐々木は自らとも戦い続けていた。
 直前の地元・高知FIは516着と不本意な成績。「他人の後ろを回っていても苦しい。余裕もないし、自分が情けない」と、失望感に打ちのめされた。岸和田に乗り込んできてからも「焦っても(状態は)よくならない」と、強気な言葉が出てこなかった。

佐々木則幸 高知・79期
 ならば、と着手したのが、セッティングの見直し。「もともとあまりいじる方じゃなかった」が、今をときめく脇本雄太(福井)ばりにサドルの先端を上向きに上げてみた。すると初日特選9Rからいきなり結果が出る。中団からの捲り追い込みで渡邉一成(福島)-齋藤登志信(宮城)に続いて3着。「今の自分の状態で、このメンバーを相手に3着は大きい」と、まずはホッと胸をなで下ろした。「サドルの角度だけでなく、ポジションも大幅に変えた。今まではペダルを踏んでいる感じだったのが、これだと踏んで返ってくる感じ。その分、道中も楽ですね。大きいギアを使うには、この方がいい」と、ひと筋の光明を見た。
 大胆な改造策は、同県の先輩・野本順三さん(58期・引退)からの助言。「師匠ではないが、練習もずっと見てもらっていた。自分の練習に時間を割くより、後輩の面倒を見るような人。恩人ですね」。峻烈なマーカーとしてS級でも鳴らした野本さんは昨年7月に引退したが、いまだに「バイクで引っ張ってもらったりする」と言う。
 つかんだ手応えを確固たるものにするために、2日目優秀はギアを3.85から4.00に上げて勝負をかけた。構成的には、村上義弘(京都)と連係することも可能だったが「他人の後ろでは、4倍の感覚がつかめない」と、単騎で自力勝負に打って出た。レースは後方で立ち遅れ、見せ場なく終わったが「ギアがかかっている分、捲りにいっても前を抜けない。大きいギアを踏むためにやっているのに」と課題も見つかった。準決勝も勝ち上がりに失敗、最終日はさらに「クランクを伸ばしてみる」と、試行錯誤は続く。その答えが見つかった時、ビッグの舞台で再び輝く佐々木の姿が見られるはずだ。
岸和田競輪場より