インタビュー

「次は逃さない」南修二 大阪 88期 S級1班
地元記念で経験したことを糧に飛躍を誓う
 さわやかな秋晴れに恵まれた場内は熱気にあふれていた。10月9日の記念決勝戦は当地ゆかりの豪華メンバーがそろい、だんじり祭で知られる岸和田の熱しやすいファンの興奮はピークに達した。当地GIの覇者は20年前の全日本選抜覇者の梶應弘樹に村上義弘、伏見俊昭の3人。他には大塚健一郎、前田拓也の記念覇者が顔をそろえた。そしてロンドン五輪の日本代表として世界の脚を見せつけて渡邉一成が勝ち上がってきた。

南修二 大阪・88期
 そんな中で、南修二は、地元記念初制覇へ絶好のチャンスを迎えた。これまでの岸和田では村上番手の指定席にいたマエタクを3番手に差し置いて番手がきた。追い込み選手として実績を積み上げ、村上にも「しっかり援護してくれるし安心して番手を任せられる」とお墨付きをもらった。事前の作戦会議は何もなかった。ただ村上は「地元の2人が付くし、ラインのみんなにチャンスがある様に力を出し切る」と話していた。南はただ「村上さんの後輪だけを見て付いていく」だけだったのだ。
 スタート台に立つと「村上行けや!」、「大塚、ホンマに競る気あるんか」とやじが飛ぶ。でもファンは必ず魂の人・村上が仕掛けること。闘将・大塚が「一成(渡邉)の番手にジカで行く」と言った以上プライドを懸けても伏見と最後まで競り合うのはわかっていた。だから渡邉と別線・南の組み合わせが1番人気だった。
 レースは残り2周で岡田征陽-宗景祐樹-梶應弘樹がインを切り、すかさず村上ラインが前に出る。渡邉が後方にいるのを確認して村上が打鐘過ぎに全開で風を切った。4番手から仕掛けた岡田を南ががっちり止めた。「必ず一成が来るのはわかっていた。それさえ阻めば…」。しかし、最後の直線で渡邉との番手を取り切った大塚に飲み込まれて3着に敗れた。
 「僕の力不足です。この経験を生かして次こそチャンスを逃さないように準備と与えられた仕事をするしかないですね」とうなだれた。それでも力を出し切った南や村上に時に敗者に浴びせられる岸和田独特の罵倒ややじが飛ぶことはなかった。それこそが地元ファンの最大の賛辞だった。


岸和田競輪場より