インタビュー

平原康多 埼玉 87期 S級1班
「諦めない」その言葉を小倉で実現か
 約2カ月ぶりにその勇姿を現した。思い起こせば、平原を悪夢が襲ったのは9月16日。GI「オールスター」(グリーンドーム前橋)準決勝。この時、平原はオリオン賞で9着に敗れはしたものの、二次予選は1着でクリア。力強い動きが戻り、期待を抱かせていた。しかし、深谷知広が落車。その後ろにいた平原が巻き込まれた。右鎖骨骨折の重傷。ただ、ここから平原の動きは早かった。「早く治して復帰したい」一心から、その日の内に静岡県内の病院に急行し、手術を受けた。

平原康太 埼玉・87期
「鎖骨はだいぶ良くなってきました。練習もある程度はできたし」と復帰戦となる取手記念の前検日にはいつものさわやかな笑顔でマスコミに接していた。問題があるとすれば勝負勘。実戦からこれだけ離れていれば、いくら平原と言えどもそう簡単にいくものじゃない。ところがいざ蓋を開けてみると、心配したマスコミをあざ笑うかのような走りを見せてくれた。初日特選。後ろは長塚智広。インに詰まる展開も小野俊之をどかして4番手をキープ。前の菅原晃に先に捲られて追う形になったが、実は追っているのではなく、捲り上げていた。ゴール寸前で長塚に交わされはしたが2着。強引に位置を取りに行くなど、平原らしさが垣間見れた。
 続く優秀は武田豊樹-長塚が続くとなれば逃げるしかない。打鐘から発進し武田の1着に貢献。準決勝は小嶋敬二を相手に、これまた強引に中団を確保して捲って出た。決勝は優秀と同じ。2周以上をもがいて武田、長塚、芦澤大輔の地元3人が表彰台に上がった。
「取手はまずまずだったと思いますよ。まだ修正するポイントはありますが競輪祭はいい感じで戦えそう」。現在の獲得賞金は、約2700万円。ランクは35位。「(グランプリ出場は)賞金ではもう無理ですからね(笑)。競輪祭で優勝するしかないでしょう。全然、諦めていないですから」。そう言えたのは取手を走って感触を掴んだからだろう。「諦めない」その言葉が小倉で実現しそうな予感がしてならない。


取手競輪場より