インタビュー

藤木裕 京都 89期 S級1班
競輪祭での悔しさを、次に生かしたい!
 武田豊樹の優勝で幕を閉じた競輪祭だが、その決勝で一番目立っていたのは紛れもなく藤木だった。初めてのGI決勝とは思えない堂々とした走りで風を切り、見せ場を作った。結果は6着に敗れたが、ファンから喝采を浴びた。さぞや満足そうに検車場に戻ってくると思いきや、表情は強ばったまま。「納得いかない、悔しくてしょうがない。連に絡めなければ意味がない」と語気を強めた。確かにプロは1着を目指すモノ。決勝に乗って浮かれているようでは大成しない。「いい競走だった」と声を掛けた記者もいたが、藤木にとっては聞きたくない言葉だっただろう。

藤木裕 京都・89期
 今大会は前検日からいつも以上に気合いが入っていた。あまりしゃべるタイプではないのだが、それにもまして近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。特選からスタート。積極的な競走で武田を叩き主導権を奪った。レース後「藤木君が強かった」と武田が言った。それほどスピードのノリは良かった。残念だったのが追走した村上博幸が落車。白星にも笑顔はなかった。2日目の「ダイヤモンドレース」は前を取り後方に置かれて凡走の9着。そして迎えた準決勝。村上義弘と2車、数的にきついと思われたが捲りで2着。ファイナル進出を決めた。「村上さんから好きな競走をしろと言われ、気持ちが落ち着いた」。以前なら村上が後ろに付けば緊張して自分の姿を見失うことがほとんどだった。しかし今は違う。「村上さんを引き出すだけじゃダメ。ワンツーを決められないと意味がない」。
 年頭、藤木が掲げた目標は記念の優勝とGIの決勝だった。4月の武雄で記念V。最後の最後でもう一つの目標も達成した。普通ならこれで喜んでもいいのだが、強くなる人間は違った。「6着の結果では、もっと頑張らなければいけない、そう思った。この悔しさを次に生かしたい」。大会前はグランプリ出場がかかる脇本雄太に注目が集まっていたが、終わってみれば脇本に負けないほど藤木の株も上がった。2013年、藤木がGI戦線で暴れ回り、タイトルを獲る。競輪祭決勝の走りを見て本当にそう感じた。


小倉競輪場より