インタビュー

箱田優樹 青森 98期 A級1班
初めてのS級戦、やるしかないんです
 超注目。2013年は必ずこの男、箱田がブレイクする。今年の優勝は8度。獲得賞金も1200万円を超えている。誰もが認めるA級のトップレーサー。その箱田が地元(?)の小田原に参加。どうして地元なのかと言えば、冬季移動先が小田原だから。今年で3年目。スタンドのファンもそれを承知で一段と大きい声援を送った。

箱田優樹 青森・98期
 S級でも勝ち星を挙げていた松本一成や馬場喜泰が相手の今シリーズ。特選、人気は当然のように箱田に集まった。援軍も3人いてラインは4車。赤板から仕掛けるいつものパターン。出切った時はマークした杉山悠也が差せるかどうか、そんな雰囲気だった。馬場が捲り上げるが不発。これで決まりと思った瞬間、外から松本が一気の捲りを決め箱田は5着。準決勝は「埼玉勢の二段駆けも頭にあったけど、緩んだところで行くつもりが何故か躊躇してしまって」2着。またもや勝ち星を逃した。いつものキレとスピードが見られないまま迎えた決勝。徹底先行の泉文人と同乗。箱田は番手回りかと思いきや「自分が前。2日間、納得いく走りができていないから」と申し出た。赤板からスピードを落とさず逃げ、泉が番手捲りを放ち優勝。結果的に3日間、地元ファンの前でいい競走を見せることができなかった。
 期待を裏切った小田原だったが、評価が下がることはない。「S級で通用するかどうか? そうじゃなくやるしかない。自分の力がS級相手にどうのこうのではなく、本当にやるしかないんです。トップスピードも足りないし、ダッシュもない」と初のS級にも浮かれた様子はいっさいない。S級でも先行するために朝は街道を約30キロ、午後は小田原バンクでもがきを7、8本こなし汗を流している。「青森の先輩である川崎健次さんや小田原所属の選手には本当にお世話になっている。もっと強くなることが恩返し」。最後に付け加えておくが、筆者が箱田に対して一番好感を持てたのは「セッティングは全く気にしない」ところ。細かいことは気にせず、がむしゃらに走る。これこそ基本中の基本ではないだろうか。


小田原競輪場より