「リョウマ、復活に懸けろ」坂本亮馬 福岡 90期 S級1班
もう一度、グランプリを狙える選手に向かって
明らかにあの頃のオーラが消えていた。S級S班まで上り詰め、飛ぶ鳥を落とす勢いだった2年前とは別人のようだった。四国初のガールズケイリンが行われた12月1日の松山FIでにぎわう検車場にフラリと姿を見せた姿は、それほど精彩を欠いたのだ。
坂本亮馬 福岡・90期
「今はいい時の1割ぐらい。2割ならFIでも勝ち負けできるんですけどね」の言葉を〝ビッグマウス〟と言われながら有言実行を続けたあのリョウマから聞くとやはり衝撃的だった-。
すべての凋落はその2010年10月の共同通信社杯秋本番(GII・奈良)準決勝の落車が始まりだった。下された診断は右腓腹筋断裂という重傷だった。しかし、その年はグランプリ出場がかかっていた。勝負駆けとなる「競輪祭に間に合わせたい」。その一心で1カ月後には復帰。グランプリ出場はかなわなかったが結局年末のSSカップみのりまで走り続けた。年が明ければ、S級S班という輪界の看板を背負い簡単には休むわけにはいかなくなった。「負のスパイラルに完全にはまってしまった感じですね。右足をかばって走っていたら左足までおかしくなって。すべての体のバランスが崩れてしまったんです」とS級S班で走った1年を棒に振り、その後のレースにも影響し続けたのだ。
再起をかけた今年最初の武雄FIでの落車も痛かった。「バランスが悪いから練習もしない方がいいと言われた時にはさすがに腐りましたね。一時期はローラーにも乗れない状態だった」とリョウマの2年の苦闘は他人には計り知れないものがあった。
ここに来てやっと体のバランスが戻りやっと練習にも本腰を入れられるようになった。レースでも自力を出せるようになった。研ぎ澄まされたレース勘と位置取りのうまさも健在だ。それでも勝ち切れるまでの最後の爆発力が足りない。「長期計画でやっていくしかないし、もう1度グランプリを狙える選手に、いや、あの時の自分を超えたい」は決してビッグマウスではなく、切なる願いだ。
『展開をつかめば、どんな相手でも勝てる自信がある』と豪語して強豪と好勝負を演じたリョウマの復活は、誰よりも競輪ファンが待っている。頑張れリョウマ!
松山競輪場より