インタビュー

山賀雅仁 千葉 87期 S級1班
GI出場権を引き込んだ価値ある優勝劇
 昨年のラストGIIIとなった広島記念。最終2コーナー8番手から強烈な捲りを決めて優勝をもぎ取った。自身2度目の記念制覇は、2009年8月の富山以来、3年4カ月ぶり。「もう1回取りたいとずっと思っていたが、まさか今回とは…」と本人もビックリする結末だったが、自らのスタイルを貫き通しての栄冠には、感慨深いものがあったようだ。
 3年前の富山記念は、同県同期の和田健太郎に前を任せた番手戦でのV。プライベートでも仲のいい和田とは、過去に何度も連係があり、その時々で前後も入れ替わっていた。「あの時は和田君が前を買って出てくれた。それだけに、今度は自力で…の思いが強かった」。胸に秘め続けた友への感謝の気持ちを、ようやく結果で表すことができた。

山賀雅仁 千葉・87期
 落車で左腕を骨折したのが2011年の10月。手首とひじの間に、新しい関節ができたのではないかというほど、ポッキリ折れていた。だが、ケガを経験するたびに強くなる山賀は、3カ月後の翌年2月、高知「東王座戦」(GII)で復帰。初日の予選1走目で武田豊樹(茨城)の先行を8番手から捲って白星を挙げ、周囲をあっと言わせた。「確かにケガも多いですけど、ここで終わってたまるかといつも思っているので。東王座戦の時は、普段やらないトレーニングとかもできたし、準備は十分やっていたので」と、本人は確かな手応えを持って臨んでいたのだ。
 広島記念のVで賞金を上積み、これで今年3月の立川「日本選手権」の出場をほぼ確定させた。さらには11月の小倉「競輪祭」の権利もゲット。昨年は1度もなかったGI出場を、一気に2つ決める価値ある勝利にもなった。「GIを取りたいという夢は、選手になってからずっと持っている。でも、GIに出なければ勝つこともできない。2013年は勝負できるし、活躍できる自信もある」と気合をみなぎらせた。
 一方で悩みもある。山賀の代名詞『後方からのドカ捲り』からの脱却だ。「上位に食い込むためには、この戦法一本で通用しないことは分かっている。苦手な位置取りもこなさなくてはいけないだろうし、抑え先行は無理だとしても、カマシくらいは打てないと…」。自分でレースを作れるかどうか。記念を2度も勝ったのだから、力は足りている。それでもある評論家からは「山賀は戦っていない」と苦言を呈された。戦う勇気を振り絞れば、さらに高いステージで活躍できるはずだ。


広島競輪場より