インタビュー

「深谷と真っ向勝負」原田研太朗 徳島 98期 S級2班
先行選手に大事なのは主導権を譲らない気持ちの強さ
 力の違いをまざまざと見せつけられた。それでも今の自分との距離を確かめられた。確かな背中を見届けられた収穫のレースに思わず笑みがこぼれた-。

原田研太朗 徳島 98期
 まだ冬の肌寒さが残る2月26日の高松記念決勝。今年最大の目標だったGIII決勝進出を早くも果たした。チャレンジャーらしく3日間風を切り、堂々の粘り込みで進出した。決勝も迷いなく先行と決めていた。今や武田豊樹と並ぶ輪界最強の深谷知広相手でも、自分のレースをすると決めていた。
 しかし、打鐘過ぎに浮上して全開で踏んだにもかかわらず、深谷知広にあっさり上をたたかれた。全力で踏み続けた結果。3番手にはまり込めた。しかし、踏んでも踏んでも深谷との差は縮まらない。そのまま押し切られて3着となった。これが深谷との差だった。「深谷さんを出させてしまうだけの競走になりました。自分では全力で踏んでいるのに、簡単に並ばれました。最後も全く追いつける感じはなかったですね」と話す表情には暗さはなかった。
 2010年7月デビューから2年でS級に上がってきた。S級昇進から6場所目の奈良で早くも優勝を飾った。「自分では出来過ぎですね。これも周りの先輩方や練習仲間のおかげだと思います。昨年引退した師匠(下川健治)にも本当にお世話になりました。環境がすべてです」。プロになると決めた高校3年生の時から地元小松島の愛好会でもまれてきた。小倉竜二らS級上位の選手が間近にいてアドバイスがもらえた。ほとんど挫折を知らずにS級まで駆け上がった。
 164㎝と上背はないが、これからも先行を貫く。「深谷さんにしろ、村上義弘さんにしろ背丈は大きくないでしょう。それよりも、主導権を絶対に取るという強い気持ちの方が先行選手には大事だと思うんです。プレッシャーの中でもどれだけ強い気持ちを保てるか。そんな精神的な強さを深谷さんにも感じました」。直接対決で得たものは大きかった。
「今年の目標は達成してしまったので、後はどれだけ1戦1戦大事に戦えるかです。結果を出すことでまた大きな舞台につなげていきたい」。徳島期待の新鋭の挑戦は始まったばかりだ。


高松競輪場より