インタビュー

佐々木龍也 神奈川 57期 S級1班
大ケガから310日ぶりに復帰「まだやり残したことがある」
 佐々木が310日ぶりにバンクを疾走した。昨年5月6日、街道練習中に落車。左股関節脱臼骨折の重傷を負った。手術は成功したものの医師からは選手生命はおろか、普段の生活にまで支障をきたすと宣告された。失意の中、4カ月の入院。「もうダメかと思った。このまま引退なのかとずっと考えていた」。それでも復帰したのは「競輪選手は天職。まだやり残したことがある」との思いからだった。復帰にあたっては横浜市内の「おおぎや整形外科」の扇谷浩文医院長と二人三脚でリハビリに取り組んだ。「先生はその道の権威。リハビリは死ぬほど苦しかったけど、今こうやって走れるのは先生のお陰」と苦しかった日々を振り返った。

佐々木龍也 神奈川・57期
 昨年12月から自転車に乗り始めた。乗ったというよりそれこそサイクリング程度。徐々に感覚が戻ってきたが、もがきを入れた練習は2月から。「凄く緊張している。ちゃんと走れるのか不安はある」と前検日(3月小田原FI)に話していた。特選は佐藤朋也-高木隆弘の3番手。見せ場なく終わったが離れたりせず最後までレースに加わることができた。準決勝は3着の井上嵩とわずかな差で4着。決勝進出を逃してしまった。だが「もっと強引に中を突っ込んでいければ良かった」と反省したが、実戦の勘はそうは簡単に戻らない。最終日も4着。結果的に3日間、連に絡むことはなかったがファンは惜しみない拍手を連日、佐々木に送った。「ファンの声援は力になる。期待に応えられなくて申し訳なかったが、自分が思っていた以上に体は動いたと思う。もう少し戸惑うかと思っていたから」と着以上の手応えはつかんだ様子だった。
「今年、48になるし高望みはしない。でも、選手である以上はタイトルは諦めない」。ある選手がいった言葉がある。「基礎、培ってきたモノがある人間は落車やケガをしても大丈夫なんです」。これは佐々木にも当てはまる。選手生命の危機を乗り越えた佐々木、必ず大舞台に戻ってくるだろう。


小田原競輪場より