インタビュー

永井清史 岐阜 88期 S級1班
初の弟子も競輪学校に入学、闘争本能が戻ってきた
 永井清史に少しだけ「らしさ」が戻ってきた。5月京都向日町FI(9着2着1着)で、昨年2月から遠ざかっていた優勝を久々に達成。共同通信社杯の翌日から始まった開催とは言え、決勝は隊列を一列棒状態にする自慢の「快速先行」で飾った。

永井清史 岐阜・88期
 続く5月大垣FI(2着2着6着)。神山雄一郎、合志正臣らが準決勝で脱落するほどの豪華FIだったが連日、代名詞の「快速先行」を披露。今年初めての連続決勝進出を鮮やかに決めた。決勝こそ川村晃司の捲りを浴びたが、打鐘から果敢に逃げ飛ばし、見せ場をしっかり作った。
 「まだまだですけど、少し光りが見えてきました。向日町から柔らかいフレームを使っています。クランクを変えたり、セッティングは試行錯誤中ですけど、大垣の準決勝は久々に感触よく踏めました。練習でも手ごたえがつかめれば、もっと上がっていけます。柔らかいフレームは長い距離をもがけますからね」。強気の「永井節」もよみがえりつつある。
 北京五輪のメダリストで、GIIホルダー(09年共同通信社杯・春一番)だが、昨今はタイトル争いが過去の出来事にもなっている。「永井はどうした!?」etc…。一流選手のバロメーターでもある110点を割り込み、競走得点は104点台まで下がり、ファンの嘆きも聞こえてくる。
 原因はハッキリしている。『大ギアブーム』に完全に乗り遅れたのだ。パワーがモノ言う大ギアは、卓越したスピードと回転力を誇る韋駄天(いだてん)の良さを奪ったのだ。「重いギアだと回転力にトップスピードが落ちてしまって…」。スランプの原因は分かっている。
 だからこそ、昨夏からパワーを求めて、ウエイトトレーニングに力を入れ始めた。「以前は刺激を入れる程度だったけど、今は筋量を増やす目的でハードにやってます。84㎏だった体重も88㎏まできたし、90㎏ぐらいにしたい。そうなれば、今使っている4.08のギアで、50×14(3.57)で走っていた時の回転力が出るはずです」。明確な目標がある。
 復活へ。モチベーションも高まっている。5月18日には区切りの大台30歳を迎え、また初めての弟子(堀兼寿)が5月に競輪学校105期へ入学した。「最近はテレビに映る機会も減ってきている。学校に入った弟子のためにも、そろそろいいところを見せないとね」。闘争本能も戻ってきた。
 もちろん、完全復活にはまだ時間を要するかもしれない。しかし高いポテンシャルと力は誰もが認めている。爽快感ある「快速ラン」を大舞台で心待ちにしているファンは多い。


大垣競輪場より