インタビュー

宮本龍一 福岡 92期 A級2班
競走得点が急上昇!キッカケは陸上トレーニング
 突然の大ブレイクだ!
 福岡・北九州の92期生・宮本龍一が各地で旋風を巻き起こしている。ここ数年は上位の壁に跳ね返され、A級の1・2班を行ったり来たりを繰り返していたが、今期はこれまで10場所を走って7回のファイナル進出。強さのバロメーターでもある競走得点は、2班で初日は点数が低い予選スタートにも関わらず、90点をあっさり突破して一気に92点台へ突入。今期中にS級点獲得も可能なところまで地位を押し上げてきた。

宮本龍一 福岡・92期
 それにしてもこの「変身」はなぜだろうか?
 話は昨年末にさかのぼる。練習仲間である杉山剛(86期)、原田礼(90期)らに「みんな基礎体力がないよね」って話したことが始まりだった。そこで、高校まで陸上の短距離選手だった宮本が当時のトレーニングをやってみようと仲間に提案。青春時代(?)を思い出し、機器などは使わずシンプルに「階段を使ってのジャンプとかをして瞬発力をつけるようにした」。陸上と自転車、使う筋肉はまったく違うはずだが、関係性は大いにあったようで、わずか数カ月で宮本の体力はみるみる向上。パワーのいる4倍超のギアも難なく踏みこなせるようになり、大ギア化へスムーズに対応できたのだ。
 圧巻だったのは4月富山と5月和歌山の決勝戦。どちらも、宮本の仕掛けに後ろのマーク選手が付いていけず、いわゆる「裸逃げ」。本来なら、番手にはまった別地区の自力型に早めに追い込まれて大敗のコース。ところが、宮本は最後まで粘り込んでともに価値ある準優勝。展開のアヤには、力を出し切った結果だからと割り切ってはいるが、実にもったいない。
 宮本の成長は、先行型の人材不足に嘆いてきた九州勢にとっては朗報でしかない。「絶対バックを取らないといけないとは思ってないですが、勝てるタイミングが先行になっちゃう」と話すように自然とバックを量産。出走表の決まり手データのバック数は「20」と輝かしい数字になっている。ラインの先頭で戦ってもまくり、自在に構える若手選手が増えてきた中で、マーカー陣から宮本が重宝されるのは間違いないし、勝利の女神も見ていることだろう。
 7月からは期も変わり新しい戦いが始まる。後期は1班に復帰するため、初日特選スタートが有力で、勝ち上がりのアドバンテージを存分に生かせそう。「(S級を)狙える位置には来たとは思いますが、欲が出るとレースが小さくなってしまう。僕は大きいレースをしてなんぼの選手なので、あまり意識しないようにしていきたい。まずはラインで決められるように」と、これからもレース内容を一番にこだわって行くつもりだが、この勢いで最後まで突っ走ることができれば、S級昇格というビッグなクリスマスプレゼントを手にしていることだろう。


熊本競輪場より