インタビュー

「消えない炎」河上泰範 高知 98期 A級1班
S級に上がり息の長い自力選手として活躍することが目標
 消火しきれない闘志の炎を内に秘めて、もがき続ける。元消防士のチャレンジが、地元のりょうまスタジアムでも続いている。
 地元Vを狙って6月の高知FIに参戦した。初日、2日と会心駆けで四国ワンツーを決めてA級2度目の地元決勝進出を果たした。しかし決勝では、中団を確保しながら、仕掛けるタイミングを逸して5着に終わった。レース後は「優勝のチャンスがあったのに情けない…」と呆然と敢闘門付近で座り込む姿があった。

河上泰範 高知・98期
 高知工業高校では自転車競技部に所属。卒業見込みの年に同級生の阿部功(93期)とともに競輪学校を受験もタイムが出ずに不合格。そのまま地元の消防士の職に就いた。職場移動は激しかったが、人命救助に携わる消防士の仕事は充実して楽しかった。
 何年か過ぎて、ふと体力づくりのために始めた自転車に夢中になっている自分に気付いた。昔取った杵柄に心騒いだ。高校時代では出なかったタイムも出るようになった。年齢制限の撤廃をきっかけに再度、競輪学校の門をたたき、同級生とは5期遅れの98期生としてデビューを果たした。
「プロスポーツ選手として自分がどこまでやれるか挑戦してみたかった。消防士の仕事も決して嫌ではなかったけど、自分の努力次第で結果がすぐに出る実力の世界で自分を試したかったんです。だから悔いはない」ときっぱり話す。
 デビュー戦は、関係者や知り合いの前で落車失格と散々だったが、次のレースからは開き直って自分の力を出し切ることで結果を残せた。チャレンジ戦では安定した成績でルーキーチャンピオンにも出場。昨年7月にはA級2班、そして今年後期はA級1班に昇級。初日特選のメンバーにも選ばれるようになった。しかし「まだまだ力不足だし、レースも甘い。人よりデビューが遅かった分もっと頑張らないと…」と納得はしていない。
 当面の目標はS級の点数を確保することだが、S級に上がっても息の長い自力選手として活躍することを目指す。「今は軽いギアで自分のダッシュを生かす競走を心がけてますけど、S級では4倍を踏めないと通用しない。そのためにやることは山積みです」。課題は多いが、一度付いた夢へ挑む戦士の炎はもう消えることはない。


高知競輪場より