インタビュー

吉川誠 神奈川 86期 A級1班
11年ぶりのA級戦も、最高のパフォーマンスを心がける
 似合わない。メンバー表を探しても吉川の名前はどこにも見当たらない。確かFI開催。外国人&ガールズシリーズで最終は12レース。特選は無理でも11、10レースと見ても名前がない。「A級なんですよ。そうやってS級のメンバーを探してもらえるのは有り難いんですが」と恥ずかしそうにやってきた。11年ぶりのA級。記念クラスでも決勝進出を果たし、グレード戦線でも暴れ回っていた。だからこそ吉川のA級には違和感を覚えた。覚えたのは筆者だけでなく、参加したメンバーもそうだったに違いない。

吉川誠 神奈川・86期
 A級初戦の立川は3着スタート。準決勝は不利な展開が響いて4着。勝ち上がりに失敗した。それでも最終日はプライドとでも言うべきか、元S級の意地を見せつけ1着で締めた。2戦目の平塚、いやが応でも優勝の期待は高まる。加えてホームバンクのシリーズとなればなおさらだ。「立川はペースに戸惑った面があった。もう大丈夫でしょう」と前検日から威勢のいい言葉が並んだ。特選、先行態勢に入ったところ伊藤勝太が単騎のカマシ。難なく番手に入った。だが、ここからが吉川らしい。「4コーナー勝負でもいいと思ったけど、僕は自力選手だから」と誰も来ていない最終バック前から捲って出た。準決勝は打鐘から先行。山口翼に屈したが内容は濃かった。決勝も先行。しかし、追走の旭健太郎が離れては苦しい。それでも3着。降級後の初Vとはならなかったが3日間、魅せてくれた。
「これからですね。正直に言うとS級の方が走りやすい。でもそれを言ったらダメですね。自分が置かれた立場、そこで最高のパフォーマンスを演じられるかですね」。力は申し分なし。A級の選手は「吉川さん、特昇でもしてくれないかな。A級で走られちゃ困る」。そんな声が聞こえてきそうだ。精神面の弱さが成績に表れていたが、「もうそんな年じゃないですから」と一蹴。小細工せず、ただ風を切って走れば結果はついてくる。それは吉川が一番分かっていることでもある。


平塚競輪場より