インタビュー

服部正博 千葉 91期 A級1班
S級を基準にして強い気持ちを持って臨んでいく
 デビューから7年経ち、前期は待望のS級に昇格した。だが力の違いは歴然で、大敗を喫することの方が多かった。ただ服部は、あくまでも前向きだ。「上位クラスの強さを肌で感じた。自分の甘さも痛感した。そういう意味では最高の刺激になりました」と多くの収穫を得た。

 かつて落車事故で腰椎の圧迫骨折を経験し、成績がガタ落ちになったことがあった。「S級の点数が関係してくる時期で、休むに休めなかった。無理して気力で走っていたけど、あまりに我慢が出来なくて医者に行ったら、そう診断された」。92点あった点数が78点にまで落ちた。それでも持ち前のガッツでそれを乗り越えた。「体(164㎝、67㎏)も小さいし、地脚も技術もないけど、自分が納得のいく競走をする」というのが服部のモットーだ。
「勝っても負けても先行で自分の役割を果たすこと。レースに失敗しても後ろの人が『いつも行ってくれてるから気にしなくていいよ』って言ってくれる。だから次は必ず頑張ろうと思う」と前を向いた。

服部正博 千葉・91期
 S級を経験した直後の今期A級は以前のA級の時よりも心構えが違うという。降級2場所目の宇都宮では特選、準決勝と連日後続を3車身離す捲りを見せつけた。「今はS級を基準に置いて走っています。スピードの違い、気迫の違いなど、強い気持ちを持って臨むようにしています。次にS級に上がったときは定着できるようなレベルに持っていかないとね」。
 服部が高いモチベーションで走れているのは公私ともに充実した環境があるのがベースとなっている。「父はいつもゲキを飛ばしてくれるし、兄弟も僕の仕事を分かってくれていて頑張れって励ましてくれる。それに利根川道場の練習もいい雰囲気の中でやれている。後は僕がそれに応えるために実力を付けて上に上がるだけです」。
 服部にとって、もうひとつ頑張らなければならない理由がある。「実は今付き合っている彼女と今年中には入籍をしたいと思っているんです」。相手は高校教師でお互いの仕事が忙しく、なかなかゆっくりと会っている暇がない。それでも会っているときは「自分が負けてイライラしているときや、落車して落ち込んでいるときに、いつもにこやかに接してくれて気持ちを和ませてくれています。だから感謝と同時に、自分がもっと頑張って守ってやらないとっていう気持ちになります」と照れ笑いを浮かべた。地盤が固まった服部の将来は有望だ。


松戸競輪場より