インタビュー

長尾拳太 岐阜 103期 A級3班
競輪はライン競走、いろんな走りをした方が自分も面白い
 まずまずの競輪生活スタートを切っている。しかしデビュー前に思い描いた、3場所9戦での最速チャレンジレース卒業は果たせなかった。103期を在校成績2位で卒業した中部地区期待のルーキー長尾拳太だ。

長尾拳太 岐阜・103期
 7月デビューから15戦を消化し【11・3・1・0】。5場所で優勝2回に準V2回。ファンから常に高い支持を集め、人気になってもコンスタントな結果で応えているが、もちろん満足度は少ない。「頑張っているとは思いますが、特班するつもりでしたから…。チャレンジは内容よりも勝ちを意識して行こうと。だから前受けから引いての捲りでいいかなって。でも3日間、全部捲りでは難しかったかも」。スピードが自慢で、捲りに一番自信を持つ長尾だが、リスク伴う戦法の捲りが両刃の剣となったようだ。
 五輪メダリスト永井清史らを輩出する岐阜第一高出身。インターハイのチームスプリント2位や国体(少年)でのケイリン2位など、アマチュア時代から自転車競技で活躍。競輪学校でも安定した成績を残した好素材である。
 高いポテンシャルはすでにレースでも実証している。デビュー3場所目の豊橋・準決勝だった。S級上位選手に匹敵する上がり「10秒9」の高速捲りでひと飲み。それも3.71のギアで、爆発的なスピードと回転力を発揮した走りだ。「フライングだったら練習でも1周駆けて上がりで10秒4、5は出てます」。歯切れいい、強気コメントにも将来性が感じられる。
 9月松阪(1着2着2着)では変化もうかがえた。前を取って引いてからの組み立てが通常パターンだった長尾が、予選は一度突っ張り、位置を取ってからの先行策。準決勝は後ろ攻めからの抑え先行。そして決勝は位置取りを意識して中団から先捲りだった。「競輪はライン競走。ボクの後ろについてくれる選手がいるし、いろんな走りをした方が自分も面白い。駆けられる流れなら先行もします。それで勝てないのは力が足りないからって、練習すればいい。また1からのスタートになったけど、今期中には必ず特班します」。決勝では同期・野原雅也(福井)に103期の特別昇班一番乗りを許したが、長尾は敗戦と事実を前向きにとらえた。
「あきらめなければ夢は叶う」。長尾の座右の銘だ。競輪人生始まりの最初のハードルを有言実行で決めてみせる。


松阪競輪場より