インタビュー

松尾透 福岡 96期 A級1班
マーク選手として先行選手との信頼関係を築いていく
 九州地区では一番活気がある福岡・北九州地区。松尾透は個性あふれる軍団の中、追い込み選手としてのポジションを築きつつある。今年前期は14場所(ミッドナイト含む)を走って7回のファイナリストになり、92.62点の競走得点(級内順位130位)で終えた。期が変わった7月からの後半戦はさらに上げ潮モードで9月別府までの6場所で4優出と順調な滑り出し。しかも、今期の18走で5着以下はわずか2回。目標選手に左右されることが多い状況にも関わらず、展開不利を力で克服して着をまとめてきた。

松尾透 福岡 96期
 数年前まで競走スタイルに悩みライバルの後塵を拝する日々が続いていたが、そんな松尾に救いの手を差し伸べたのが、山田浩一(59期)だった。「2年前に山田さんから『お前、このままでいいのか』って聞かれて『ダメだと思います』と答えた。それから山田さんの門を叩いた。朝から晩までだったので色んな意味できつかったけど、元からマーク選手が好きだったし、性に合っていたのかな」。先輩マーカー・山田のアドバイスは的確で自分の進むべき道を見つけた。脚力面では天候に左右されない北九州メディアドームという抜群の練習環境のもと、八谷誠賢(77期)、内山拓(88期)、樫山恭柄(92期)のスピードレーサーに必死についていくことがレベルアップに結びついている。
 8月小倉「第7回吉岡稔真カップ」は圧巻だった。通常開催では1年4カ月ぶりの地元戦に松尾は燃えていた。初日特選は宮本龍一(福岡)が別線の黒川茂高(滋賀)に突っ張られ後退するや、素早く3番手を極めて位置を確保。その後も前へ、前へと踏んで黒川マークの玉手翔(兵庫)の抵抗を耐えて3着ゴール。決勝は前を任せた本郷雄三(熊本)が打鐘前にクリップバンドが外れるアクシデント。いきなり目標を失うピンチも瞬時に作戦変更。先行した久米康平(徳島)の後位へ追い上げる形で3番手キープ。さらに3コーナー手前からは外から内へまるで〝鬼神〟の立ち回りを披露。後位で脚をためていた玉手翔の強襲に屈したが価値のある準優勝。「優勝したかなと思ったけど、玉手君がすごいスピードだった。地元戦だったので悔しい半面、次の地元戦では優勝を狙っていく」と、早くもリベンジを約束していた。
 今期も中盤戦に差しかかりテンションは高まっていくばかりだ。「去年から優勝できていないので最低でも決勝には…。兄貴(信太郎=92期)は結構(優勝)しているので負けないようにしたい。あとは先行選手との信頼関係を大事にしたい。先行選手に『どうにかしてくれる』と思われるような選手になって、仕事をして差せればベストだが、差せなくても先行選手を(確定板に)乗せられるようになりたい」。
 実際にラインを組んで戦うことでしか得られない〝つながり〟を最大の武器にして、九州地区を再び一大勢力に押し上げるべく各地で旋風を巻き起こしていく。


小倉競輪場より