インタビュー

川口直人 神奈川 84期 A級1班
勝負に対する執念を感じた地元戦
 最後の最後まで優勝を確信できなかった。小松剛之との壮絶なゴール勝負。見た目は小松が優勢。しかし、結果は川口がタイヤ差で嬉しい地元でVを飾った。「ホームバンクで優勝できるなんて本当に嬉しい。またS級で走れるように頑張ります」とファンの声援に応えた。
 今シリーズ(10月・平塚)はA級頂上決戦と言っても過言ではないほど実力者がそろった。戦前の評価は優勝候補筆頭が城幸弘。2番手が2班ながら武田豊樹の愛弟子・吉澤純平。3番手がシャープな差し脚を武器にする小松剛之だった。しかし地元、それもホームバンクのシリーズとあって川口は内に秘めたモノがあった。

川口直人 神奈川・84期
 特選は泉文人が先行。4番手を確保しながら城に先に捲られ4着。このレースの反省点は最終ホーム。抑えた泉ラインを叩きに行こうと思えば行けたが、口が開いた瞬間4番手に入った。「あそこで行かなければいけなかった。例え、出切れなくても行くときは行かないと。まだダメですね」。
 消化不良で終わった特選の悔しさは、準決勝で晴らした。辻中国宏の番手に飛び付き、余裕の差し切り。どうしても勝ち上がらなければならないプレッシャーの中、番手勝負を選択。
 迎えた決勝。優勝候補は順当に勝ち上がった。ラインは細切れになり、川口は「位置は決めない。自分も自力選手だから」と柔軟に構えた。坂本周輝が先行し3番手に泉-小松。川口と言えば、何と最終バックは8番手。どう考えても優勝の文字など浮かばないが、前にいたのが城だった。城の捲りに乗り、2センターから内に切り込み、冒頭の小松とマッチレースを演じた。特選は別にして、残り2日間は勝ちに固執、勝負に対する執念が感じられた。
 強豪相手に優勝を飾ったが、浮かれることは決してない。「まだ甘い。もっとしっかりレースを組み立てないと」。川口が目指すところはあくまでもS級。以前は気持ちの弱さを指摘されていたが、今開催を見る限りそれもなくなったように思えた。これが本物ならS級に復帰しても勝ち星を量産できるだろう。


平塚競輪場より