インタビュー

川口公太朗 岐阜 98期 A級1班
愛すべきハム太朗の夢は
 自転車の名門・岐阜県立岐南工高出身だが、在学中は目立つ存在ではなかった。「体の線も細くて自分は向いていないのか」と自信が揺らぐ時期もあったが、卒業間近で一気にタイムが上がりだしてきた。
 「自分は努力しないと駄目なタイプ。派手に特昇出来る人はうらやましいけど、自分には合っていないような気がする」とあくまでも堅実派だ。かつて同学年の深谷知広とアマチュア時代、1000mで対戦したことがある。「今までの選手が12秒台なのに対し、僕は9秒台。このままいけば間違いなく優勝だったところが、この後出た、深谷は捻挫した足に包帯をぐるぐる巻きにして7秒出したんですよ。既に怪物でしたね」。

川口公太朗 岐阜・98期
 昨年10月に「重大走行注意」の違反点が重なり1カ月のあっせん停止になった。「この悔しさを練習にぶつけようと思って。(重注の原因となる)誘導員早期追い抜きをしなくても、どの位置からでも主導権を奪える力と技を身に付けて、自分でレースをつくれるようにと頑張ったんです。ところが気合が空回りして練習中に落車。あとは治療することだけに時間を費やしてしまいました」と頭をかいた。
 しかも調整が間に合わず、復帰戦となる11月富山では予選スタートで9着大敗という失態をやらかしてしまった。その後もセッティングをいじりすぎて、本来の形を見失ってしまうという負のスパイラルに陥ってしまうという時期も経験した。
 ありがたかったのはスランプの最中にアドバイスをくれた加藤慎平ら練習仲間たちだ。「サドルやシューズを換えても迷うだけだ。思い切って元のスタイルに戻した方がいいと言われ、気持ち的にも初心に戻ることが出来た」。
 大きな目標が1つある。弟の聖二が今年103期でデビューした。チャレンジの現在は兄以上の勢いで勝ち星を量産している。やがて2人してS級に昇級し、村上兄弟のようにGIIIで連係するのが夢だ。「兄弟で上位クラスに定着することってなかなか簡単にはいかないと思うんですが、2人でその目標に向かっていきたいですね」。
 「とっとこハム太郎」というアニメキャラがいるが、川口も名前の公という字からハム太朗と呼ばれている。「公太朗とはめったに呼ばれないですね。大抵、ハムかハムちゃんですよ」と言って人懐っこく笑った。愛すべきハム太朗と聖二の兄弟タッグを楽しみに待っていたい。


岐阜競輪場より