インタビュー

松岡健介 兵庫 87期 S級1班
一からのやり直しで狂っていた歯車を修正
 本来の力が戻った。近況は一宮、大垣の両記念で決勝に連続進出。その後の松山FIでは完全Vを飾った。先行、もしくは勝負どころで必ず積極的に攻める姿勢は、完全復活を印象づけるには十分なものだ。

松岡健介 兵庫・87期
 一宮の二次予選勝利後は「(敗れた)初日も感じは良かったからね。自信を持って臨んでいた。バックの向かい風は強かったけど、思ったより自転車が出た」と余裕の表情。大垣の二次予選では打鐘からの突っ張り先行で押し切るなど、35歳の年齢を感じさせない走りを見せた。
 波乱に満ちたこの半年だった。今年5月の平塚記念で落車して鎖骨、ろっ骨を複数骨折。回復途中に再び鎖骨を骨折したことで、再手術を余儀なくされた。「6月の練習中に激痛が走ったんです。ワイヤーを入れてから折ってしまったので、プレートで固定する手術でした」。
 戦線復帰は7月の寬仁親王牌。しかし、不十分な調子とは裏腹の好成績が、ファンに“誤解”をもたらし、自身の歯車も狂わせた。「サマーナイトフェスティバルの初日1着は3手から抜いただけなんですよ。その後のレースの1着も番手戦があった。それなのにGIIの決勝に進出してしまったことで、明らかに僕の車券が売れるようになった。ファンの支持を意識して走らなければならなくなったことで、走りが小さくなってしまったんです」。
 そして、現実の力が露呈したのが追加出場の9月・向日町記念。初日特選は、ホームバンクで主役の村上義弘に前を任されたにもかかわらず、8番手で何もできずに大敗。二次予選も立ち遅れて、7番手捲り不発に終わった。オールスター後のため、一度、気持ちを切っていたとはいえ、あまりにふがいない地元地区記念となった。
「向日町記念と10月の高松FIを終えて心機一転したんです。ちょうどそのタイミングで、医師からいっぱいに練習をやってもよいという許可も下りたんです。まさに一からのやり直しでしたね」。
 その結果が西武園FIのオール先行による1着1着2着であり、2つの記念の好成績。完全復活を遂げたこの秋。競輪祭はもちろん、年末に向けて目を離せないS級トップ選手の一人である。


一宮、大垣競輪場より