インタビュー

小松崎大地 福島 99期 S級2班
先行逃げ切りで決めたS級初優勝
 自分の道を貫く―。口にすれば短い言葉も、それを実現することの難しさは相当なもの。選手の評価は着順という結果だけのはずだが、そこにレース内容を求められるから道は険しくなる。「3日間逃げ切りで勝てたことがうれしい」。11月21日に決勝戦が行われた玉野FIで、S級初優勝を果たした小松崎は、その道を突き進んできた甲斐があったと実感できたのではなかろうか。

小松崎大地 福島・99期
 この開催には、特選組に渡邉一成、園田匠、三宅達也らが名を連ねていたが、さらには年末の「ヤンググランプリ」で対戦が予定されている古性優作、三谷竜生もエントリー。激しいV争いが予想された。小松崎の初戦、予選9レースは伊藤信との2分戦。打鐘で伊藤を突っ張って先行態勢に入ると、1周半逃げ切って快勝。準決勝9レースは伊藤との再戦に才迫勇馬も加わってさらに厳しい構成となったが、ここでも才迫を突っ張って封じ押し切り勝ち。マークした山田敦也が「あれは抜けねえ」と舌を巻いたほどの強さだった。
 決勝は渡邉との同乗となり、別線勝負も考えられたが「後ろの競走はできない」と、志願の前回り。友定祐己が北日本分断を宣言してレースはややもつれたが、難なく主導権を奪った小松崎がまたも逃げ切り完全V。シリーズを完全に支配してみせた。玉野バンクは東日本大震災後、岡山に一時避難した師匠の岡部芳幸とともに汗を流したこともある思い出のバンク。「岡山のみなさんにはお世話になっているし、レースで結果を出すことが恩返しだと思った」と、感謝の気持ちを第一に表した。
 これで「ヤンググランプリ」には『優勝歴1回』の箔をつけて臨める。「優勝はうれしいが、今回に関してはラインのおかげで勝てたと思っている。ヤンググランプリも大事だが、まだ並びも考えていないので…。自分はまだGIにも出ていないし、まずは目の前の一戦で力を出し切ることが目標」と、おごる様子はまったくない。野球から転身、デビューして約2年。「ヤンググランプリ」は昨年の3着以上の活躍が期待される。さらには来期から待望のS級1班に昇格することも決まっており、北日本のニューパワーとしても注目が集まる。実直に、ただひたすらこの道を―。小松崎の行く先はきっと明るい。


玉野競輪場より