インタビュー

里見恒平 千葉 99期 A級3班
大ケガという試練を乗り越え再スタート
 笑顔と逞しさが戻ってきた。2011年9月の立川チャレンジ決勝でバンクに叩きつけられた里見。左鎖骨を骨折。そして脳挫傷の重傷を負った。日本を代表するアメリカンフットボール選手から競輪へ転向、鋼の肉体を持つ里見でも立ち上がれなかった。「脳挫傷の人は、死亡、後遺症、普段通りの生活この3つに分けられると医師から言われた。僕の場合は、本当にラッキーだった」。久しぶりに会った里見はデビュー当時と変わらず笑顔でハッキリとインタビューに応えた。

里見恒平 千葉・99期
 復帰してしばらくは精彩を欠いていたが、来期からはA級2班に昇班が決まっているほど競走得点は高い。アクシデントがなければもっと早く上のステージで暴れられた逸材。その里見が平塚で雄姿を見せてくれた。予選は打鐘過ぎの4コーナーから仕掛けると後続を千切る圧勝。準決勝は最終1コーナーからの捲り。これまたマークした選手が付いていけないほどのスピードだった。
 完全優勝がかかった決勝はルーキー・小酒大勇と対戦。「小酒君とは過去2勝3敗。ここで五分に戻さないといけない」と前日から気合満点だった。主導権を握ったのは里見。3番手の小酒が最終ホーム前から猛然とスパート。「引きつけるだけ引きつけて併せるつもりだった」里見も踏み、壮絶なもがき合い。バック前で里見が突っ張りきったが「小酒君が止まったと思った。そこで油断したかもしれない。その瞬間に小酒君がまた踏んで」。捲り切った小酒が優勝。里見は準優勝に終わった。「本当に悔しい。でもあそこで完全に突っ張りきれなかったのは僕の力不足」と振り返った。
 シリーズを通しての動きは十分A級1、2班戦でも通用するもの。「再スタートです。走れないときは正直、焦りもあったけど、それも試練。これからです」とどんな逆行にも屈しない里見らしい言葉で締めくくった。日本人初の米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)プレーヤーを目指しチャレンジした男。来年1月からが本当の戦いになる。毎レース、里見の走りに注目したい。


平塚競輪場より