インタビュー

「夢へはばたく」山崎翼 大分 95期 A級2班
S級を目指して課題克服のための練習に取り組む
 ようやく上昇気流に乗ってきた。このまま、どこまで大きな山を乗り越えていけるのだろうか。
 最初は飛べない〝翼〟だった。競輪学校時代は34位と中位だったが、卒業記念レースで決勝に進出。デビュー時は注目されたが悪戦苦闘が続いた。先行して持たない。捲っても合わされて不発。中途半端なレース内容でデビューして約3年間は思ったような成績が残せずにあがいた。「このままではいけない…」。練習でもマイペースを貫いてきた山崎の意識が変わったのは、2013年2月の一歳年上の優子さんとの結婚がきっかけになったと話す。

山崎翼 大分・95期
「自分の今持っている力や脚質を生かす競走をしよう」。流れに逆らわず、たとえ後方に置かれても自分のタイミングで仕掛ける。開き直りが功を奏した。〝捲り〟一本に絞った今年のチャレンジ戦で1着を量産。特別昇班こそならなかったが6月久留米のレインボーカップチャレンジファイナルで2着に入り、A級2班に昇班した。
 2013年11月の向日町では、A級1・2班戦初Vまであと一歩まで迫った。前を任せた若手が不発に終わるや一気に自力で発進。元S級の竹内公亮(岐阜)にゴール直前でわずかタイヤ差交わされた。 「早くA級1・2班戦で優勝したいというのはありますね。気持ちに余裕を持って走れますから。まだ上で本当に通用するか半信半疑でしたから上出来ですよ。でも自分の形にはまれば勝負できるという手応えは感じてます」。
 2014年こそS級昇進に向けて本当の勝負が始まる。同県の先輩・大塚健一郎からも「位置取りの厳しさを覚えないと上(S級)では通用しないぞ」とアドバイスをもらった。「練習量はあまり変わってません。ただ練習に取り組む姿勢は変わりましたね。位置取りもそうだけど脚の底上げも必要です。いろんな意見を取り入れながら課題を克服するための練習に取り組んでます」とメンタル面の向上が飛躍につながった。
 2013年9月に長男も授かった。名前は翔(そら)と名付けた。中学の時にKEIRINグランプリで山田裕仁が掲げた賞金ボードの額に魅せられた。いつかはその舞台に立つ夢に向かい生まれた長男と一緒に大空へはばたいていく。


京都向日町競輪場より