「飛躍の一年」小岩哲也 大分 101期 A級1班
小岩哲也 大分・101期
101期でデビュー3年目を迎える小岩哲也(大分)は2014年、大ブレイクを予感させるパワーヒッターだ。小岩はS級トップで戦う兄・大介(90期)の背中を追って輪界入り。高校時代から自転車部だった大介とは違い、哲也はアマチュア暦がほとんどなかったが、自転車に慣れていくと兄と同じ遺伝子から編み出された才能が覚醒。デビュー2期目を迎えた昨年1月に9連勝でチャレンジを卒業。2月からは1・2班戦に戦いの場を移した。3月ごろに患った腰痛の回復に手間取りはしたものの、6月久留米では待望の初優勝を果たした。昨年後期は優勝こそなかったが安定した走りで競走得点は93点を超えた。S級への昇級人数に大きな変動がなければ、S級点を獲得したものと思われる。
年が変わった2014年はスタートダッシュに成功。正月シリーズの小松島で優出(2着1着9着)を果たすと、2場所目の奈良では3連勝の完全V。何といっても圧巻は決勝戦で小岩は後ろに杉山剛-古川圭-澤亀浩司(ともに福岡)をつれて2周前からのぶん回し。番手の杉山が内から上昇した山崎光展(京都)に掬われたことがあったにしてもS級経験者を寄せ付けない逃走劇だった。「けん制が入ったこともあって自分のいいように並び(隊列)が整ってくれた。運もよかったけど、自分のレースが出来て勝てたのはよかった」と今年初の美酒に喜びを示した。マークした杉山も「今までついた選手の中で一番強かった。すんなりだったとしても抜けなかったかも」と小岩の先行力にビックリした様子。こうなると、確変モードは止まらない。1月3場所目の別府では逃げ、逃げ、捲りで3連勝。今度は、初日にワンツーを決めた三木健治(沖縄)も小岩の強さに舌を巻く。「小松島の2日目からギアを4.17に上げたと聞いたけど、踏みこなしているね。今すぐでもS級で通用するよ」。前期までS級に在籍し、正確なジャッジができるマーカーも小岩のパワーに太鼓判を押した。
周囲の見る目は大きく変わってきているが、小岩自身にブレはない。デビュー当初からのレーススタイルを崩さず「しっかり動いていってレースで相手に負けないようにするだけ。納得のいく走りをしたい」と積極果敢な走りで風を切り続ける。あくまでも勝利優先ではなく内容重視だ。
6連勝を果たしたことで、次走の2月向日町の結果次第では特別昇級で夏を待たずにS級戦士・小岩哲也が誕生するかもしれない。ずっと憧れてきた兄の背中がようやく見えてきた。「一緒に走って失敗しないぐらいまで強くなりたい。年齢(3月で28歳)を考えると早いうちに仕上げていかないと」。
S級戦では他地区に押され気味な九州勢。反撃体制を整えるのには次を担えるような若くて、しかも、インパクトある先行選手の存在が不可欠である。3ケタ(100期)世代の一番手は小岩哲也がピッタリだ。誰もが彼のダイナミックな走りを待っている。
別府競輪場より