インタビュー

泉谷元樹 愛知 101期 A級2班
師匠・金子貴志の前で走る日を目指して

泉谷元樹 愛知・101期
 デビューから1年半。今期からA級2班に昇班した。徹底先行を貫いてのチャレンジ卒業。もっと早くA級3班を卒業していく選手はいくらでもいるが、競輪学校での成績が最下位だったことを考えれば、『スピード昇進』と評価していい成長ぶりだ。「タイムもまったく出ませんでしたからね。学校時代はいつクビになるのかと思って過ごしていました。それを思えば1年半で1・2班戦なら、自分でも順調だと考えています」。
 全日本ジュニアパワーリフティング選手権優勝。様々なスポーツで活躍したのちに競輪に転身してくる選手は多いが、この肩書はデビュー時から大いに注目を集めた。170㎝の身長はけっして高くはないが、均整のとれた体格に鍛え上げられた肉体は遠くから見ても分かる。その身体を基本に、いかに競輪選手として力を付けていくかがポイントだ。「練習しても結果につながらなかった頃は苦しかった。でも今はタイムも出るようになって結果も出始めましたから」。辛い時期を乗り越えただけに充実感を漂わせる。
 環境は抜群だ。師匠は昨年のGPウイナーの金子貴志。深谷知広は年下とはいえ兄弟子となる。史上最強の師弟の元にいるのだから、2人の存在が何よりも価値のある教科書だ。「2人とも細かく教えてくれることはありません。ただ一つ言ってくれることは、どうしたら自転車が楽に進むのかを考えろ、と。やみくもに練習をするだけではだめで、試行錯誤しながら自分でつかみ取れということです」。
 練習に取り組む2人の姿勢も泉谷を刺激する。昨年の金子と深谷は、2人合わせて3億円を超える賞金を稼ぎ出したが、今もどこにも妥協はない。飽くなき「向上心」こそが大切なのだと気付かされた。「金子さんは寬仁親王牌を優勝してからウエイトトレーニングの頻度を高めている。もちろん僕も教えてもらいながら一緒にやらせてもらっています。パワーリフティングとは鍛える部分が違いますからね。基礎体力を付ける意味でもやり続けています」。
 今期の目標はまずはA級1班の点数を確保すること。そして「次の期にはS級の点数を目指したい。いつの日か金子さんに前を任されるようになりたい」と熱く話す。競輪に取り組む姿勢と強くなるための身体はそろっているだけに、今後の成長と活躍が楽しみな愛知の一人だ。


松阪競輪場より