インタビュー

谷口明正 三重 103期 A級3班
S級に上がって師匠を前で引っ張るのが目標
 えっ、まだチャレンジクラスにいるの? 力は間違いなくあるのに、なかなか1着を9本並べることができずにA級3班のレースを続けている。ネガティブな理由を挙げれば、「競走がきれいすぎる」(同県先輩評)から。反対にポジティブな理由は「6連勝すれば特別昇班も意識するが、小さな競走をしてまで上がりたくないから。徹底先行の脚質は、今のチャレンジでも磨ける」(谷口)。師匠の萩原操(51期)からも「来期は2班に上がれるのだから、慌てなくていい」とアドバイスされているという。

谷口明正 三重・103期
 30歳の103期。今どき珍しいほどに真面目で素直な性格。年配の人からかわいがってもらえる典型的なタイプである。今、こうして競輪選手としていられるのも、谷口を支えてやろうという人々が周囲に大勢いるからである。小学4年から中学、大学、クラブチームと、17年間もバスケットボール漬けだった男が競輪を職業にできたのは人々の支えがあった。
「京都で会社勤めをしながら適性試験を受けていた頃は、毛利昇平(79期)さんや伊藤保文(71期)さんに教えていただいた。でも、2次試験で必ず落ちてしまうので、本気で選手になりたいのなら技能試験を受けるために三重に帰って本格的に自転車に乗る練習をした方がいいとなったのです。そこで一から十まで教えてもらったのが萩原さん。感謝の思いしかありません。早くS級に上がって、前で引っ張るのが最大の目標です」
 現状の課題はトップスピードを付けること。強地脚の持ち主だけに、もう少しスピードが加われば、昇班後のA級1、2班戦でも即通用するはずである。
「下りもがきで限界以上のスピードを付ける練習に取り組んでいます。とにかく競輪は夢のある仕事。若い同期は刺激になるし、自分がどこまで上に行けるか本当にやりがいのある仕事です」
 真っすぐに前だけを見て突き進むのみ。今の努力はきっと実を結ぶ日が来るはずだ。


一宮競輪場より