インタビュー

稲毛健太 和歌山 97期 S級1班
完全復活を目指して
 昨年6月にS級初Vを飾り、今期から待望の1班昇格を果たした稲毛が、もがき苦しんでいる。2月の高松「全日本選抜」一次予選、果敢に逃げたが末を欠いて6着。力を使い果たしたゴール後に他の選手と接触、右肩からバンクに叩き付けられた。選手生活で初の鎖骨骨折。1か月の入院もあり、4月の伊東「共同通信社杯」で復帰するまで2か月を要した。名古屋ダービーも棒に振った。「1か月は練習できたけど、左右の体のバランスが悪い。肩甲骨が動くようになったのが(共同通信社杯の)前検の3日前。まだ鎖骨をワイヤーで固定しているせいもあって、腕立て伏せをしても加重が右3、左7くらい」と、万全にはほど遠い状況だった。

稲毛健太 和歌山・97期
 その「共同通信社杯」は短走路に加え、若手機動型中心の配分でめまぐるしい展開。実戦を離れていた不利もあって、一次予選は9着、2日目も5着と厳しい結果に。それでも「レースになれば怖さはない。競輪学校時代にも骨折は経験しているのでね。勘を戻すというよりも、まずは体を治すこと。また体を作り直して、一から頑張ります」と前を向く。
 実戦復帰にあたり、セッティングの見直しも行った。「3・92のギヤを使っていたころを思い出して、クランクを伸ばした。ちょうど来年1月からギヤ規制もかかるので、それもにらんで、ですね。結果を焦ってギヤをかけると、一発狙いの競走しかできなくなるので」。ともすれば、完全復活には時間がかかるかもしれない。焦りはないが、稲毛は早期の復調を目指している。
 「5月の松阪記念である程度メドを立てて、取手の全プロ選手権が勝負。7月の寬仁親王牌世界選手権記念トーナメント競輪の日競選理事長杯の権利を取りたい」。昨年9月の近畿地区プロ選手権では、1キロTTとチームスプリントで2冠を達成している。今夏のGI戦線に間に合わせたいと思うのは当然だ。「京都の偉大な先輩たちと肩を並べるくらいに成長したい。ケガをして弱くなったと言われるのは嫌なので」と、強い気持ちも見せた。折れない心で、必ず輪界を引っ張る存在にのし上がる。


伊東温泉競輪場より