インタビュー

高木 真備(106期 東京 A級2班)
「先行日本一」を目指す新人 高木真備
 5月にデビューしたガールズ3期生(106期)が各地で旋風を巻き起こしているのはご存じのとおり。2場所を走り終えた時点で、18人全員が確定板(3着以内)を経験するというレベルの高さ。その106期を在校2位で卒業した高木が、徐々に注目を浴びつつある。

高木 真備(106期 東京)
 デビュー戦となった奈良でいきなり決勝進出。最終ホームで仕掛けた梶田舞(栃木)に食らい付いての準Vは評価に値する。だが、周囲の称賛にも笑顔はなし。むしろ、積極的に仕掛けられなかったことを悔しがり、レース後に涙を流すほどだった。「本当に何もできずに終わった。反省しかありません」。時として結果よりも内容を問われるのが競輪だが、点の競走が基本のガールズでその意識が植え付けられている選手がどれほどいるのか。6月の松山でも、敗れて真っ赤に目を泣きはらした高木を見た。
 そんな高木のあこがれは、徹底先行で鳴らす第一人者の加瀬加奈子(新潟)。7月の和歌山で、待ちに待った初対戦が実現した。初日の予選1走目、加瀬がSを取ってどっしり構えると、高木は打鐘からアタック。最終ホームで加瀬が意地で突っ張り切り、高木は外へ浮いて5着。「打鐘から仕掛けたのは初めて。加瀬さんと先行争いをして、いい勉強になりました」と、すがすがしい表情でレースを振り返った。一方の加瀬も「ああいう熱いレースができるから、ファンもいると思う。自分が逆の立場なら同じことをしていた。若い子が力勝負をしてくれるのはうれしいし、1期や2期も、そういう気持ちで戦ってくれたら」と満足そうだった。
 高木は2日目、中川諒子(新潟)の打鐘からのカマシ先行を追いかけ、直線でかわしてデビュー2勝目を挙げたが、ここでも「すごく悔しい。(中川の走りが)自分がやるべきレースでした」と満足することはなかった。加瀬、中川へのリベンジの舞台は最終日の決勝戦。当日欠場者が出て6車立てとなったが、打鐘から加瀬との激しいモガキ合い。最終ホームでは加瀬に前に出られたが、バックでもう一度まくりを仕掛ける。直線で力尽き5着に敗れたが、火花散る攻防にスタンドは大いに沸いた。
 レース後、加瀬が健闘をたたえて高木を抱き締めるシーンも。新たなライバルとして認められた高木も、声を弾ませる。「終わったあとも、加瀬さんにいろいろアドバイスをいただいた。収穫の大きいシリーズになりました。結果を求めて焦っても、レースが小さくなってしまうと思うし、これからも積極的に自分で動いて、あとは力を付けるだけ。最終的にはガールズグランプリに乗れるようになりたい」。ひたむきに自分の走りを貫いた先には、「先行日本一」の称号が待っている。


和歌山競輪場より