インタビュー

川口聖二 岐阜 S級2班 103期 20歳
岐阜の若手代表格
 デビューから約1年3カ月。初めて本当の壁にぶつかっているのかもしれない。チャレンジこそ7カ月以上も時間を要してしまったが、A級1、2班戦はわずか11場所で特進通過。A級1班を経験することなくS級パンツを手に入れた逸材は、トップレベルに戸惑いと難しさを感じ始めている。「S級は今までのクラスとは全然違いますね。A級ではすんなり先行させてもらっていたが、S級は同じレベルの脚の選手が大勢いる。先行はしているけど、力任せに出ているだけ。組み立てがまったくできていない」と首をかしげる。

川口 聖二(岐阜 103期)
 一番の原因はA級をあまりにあっさりと通過してしまったことだろう。力があるゆえに特進をしたわけだが、A級戦でじっくりと脚を作ることができず、9車のレース経験も未熟なまま昇級してしまったことが影響している。「特に厳しいのは準決。逃げもまくりも自分のレースをさせてもらっていない。一度でも自信が付くレースができればよいのですがS級の戦いに飲まれてしまっている」。
 もう一つの課題はS級では見劣るスピード。もともとパワータイプであるため、トップスピードを上げるための練習を重ねている。「バンクメインの練習に変えました。バイク誘導による練習を中心にやっています。S級は道中のスピード自体が違いますし、流しているとすぐに来ますからね。そのスピードに付いていかないといけませんから」。
 苦しみを乗り越えなければ本当のトップ選手にはなれない。多くの選手がはね返されるS級の壁でもある。だが川口ならきっと大丈夫だろう。競輪選手になるのは小学生の頃からの夢。中学時代の部活動としてバレーボールを選択したのも脚力を付けるため。尊敬する滝澤正光校長がバレーボールの経験を積んでいたのを見習ったのだった。「幼い頃からの夢を早々とかなえたのだから、友達はうらやましく思ってくれています。でもまだ選手になっただけ。3年後ぐらいにはGⅠで先行できる選手になりたい。まずは準決突破が目標ですけどね」。
 競輪界トップの地位を確立した愛知の深谷知広を筆頭に、着実に力を付けている中部の若手。三重の代表格が伊藤裕貴なら、岐阜はこの川口が最有力候補だろう。180センチの身長と横幅のある恵まれた体格。川口の飛躍と成長が楽しみで仕方ない。


富山競輪場より