インタビュー

里見恒平(99期 千葉 A級2班)
モットーは 木刀でも真剣でも一緒
 アメリカのメジャースポーツは、野球、バスケットボール、アイスホッケー、そしてアメリカンフットボール。野球、バスケットボール、アイスホッケーは日本人プレーヤーが誕生しているが、アメリカンフットボールだけは何人もがチャレンジしたが、いまだにトップステージには立ったことがない。今回参加した里見もその一人。夢は叶わず、NFLヨーロッパやアリーナフットボールで活躍し帰国。国内のチームに所属していたが、知人を介して競輪に転向した一流のアスリート。デビュー後はパワーを生かした走りで順調に勝ち星を量産していたが、一昨年9月の立川で落車し、左鎖骨を骨折。そして脳挫傷の重傷を負った。半年以上のブランク、復帰しても満足いく競走、結果を残せなかった。それが前回の大宮で初Vを見事飾りこの平塚にやってきた。
 「追加なんです。大宮で優勝できたし、流れが良かったから。それと師匠の宮倉(勇)さんも一緒だったんで」

里見恒平 千葉・99期
 気合満点で乗り込んできた予選。後ろは地元の柴田健。主導権を握り、柴田に差されはしたが2着。そして迎えて準決は、宮倉と同乗。「初めての連係です。緊張しますよ。僕をここまで育ててくれたのは宮倉さんのお陰ですから。今夜眠れるかな(笑)」とメンバーが発表された時点で、全身からものすごいやる気が感じられた。S級でも活躍した石川雅望、先行に意欲を燃やす猪狩祐樹らと対戦。打鐘で飛び出すとレースを支配した。巻き返してきた猪狩を宮倉が強烈にブロック。固い絆で結ばれた師弟のレースにファンは熱狂した。だが、里見のスピードは鈍り、石川に追い込まれ、宮倉は3着。「もうワンテンポ早く踏み込めば良かった。あまりやらない中団でいったん抑えてからの競走だったし。宮倉さんと決勝に進みたかった」と悔しそうに振り返った。最終日は後方に置かれ万事休す。それでも力強い走りはファンの目に焼き付いた。
 今回は宮倉との初連係で緊張もあっただろうがモットーは「木刀でも真剣でも一緒」。すなわち相手が誰であろうと一戦一戦が真剣勝負ということ。今回は白星こそ挙げられなかったが「大宮の優勝がスタート地点だと思っていますから。今回はファンに迷惑をかけましたが、これからです」。休んでいる間に同期や、アメリカンフットボールの後輩である中井勇介(千葉)が上のステージで活躍。
 「そりゃ焦りましたよ。もちろん刺激も」
 大ケガから復活し、初優勝まで成し遂げたのだから、もう焦る必要はないだろう。そしてS級での活躍も現実味を帯びてきた。


平塚競輪場より