インタビュー

新井 秀明 熊本 85期 S級2班
環境を変えて激変!ここからが本調子
東日本大震災が起きた2011年、新井は埼玉県から、妻の実家がある熊本県へと籍を移した。人懐こく、誰とでも打ち解けられる明るい性格もあって、すぐに地元勢らに受け入れられた。環境面に関しては申し分なかった。ただし、成績をみると頭打ち、というか何か物足りない日が続いた。
追込選手という立場上、自力型にゆだねるケースが多い。関東と比べて自力の層が薄い九州地区にいる以上は仕方がない、そうとも思えたが、本人は何かやりきれなかった。「最初は環境の変化に慣れるまでと思っていたけど、まったく成績が上がらなくて…。段々と焦りが出てきました」

新井秀明 熊本 85期
そこで、荒療治を施した。思い切って練習環境を変えてみたのだ。これまでは下田和美(72期)や服部克久(90期)ら熊本北部に住む選手で形成される「玉名グループ」で街道中心に乗り込んでいたが、今年の2月からバンク中心の練習に切り替えた。さらに、体のメンテナンスとパワーアップが必要だと再認識し、トレーナー2人と契約して肉体改造に取り組んだ。「自己流のトレーニングで体は大きくなったんだけど、成績につながらなかった。そこで効率のいい筋トレをと思って。あとは体のバランスなどを見てくれる方に頼みました。練習のメニューを組んでもらい、バンクでフォームチェックをしてくれたりといろいろお世話になってます」
もちろん、玉名グループとの連係は今までのまま。時間が合えば一緒に乗り込みにもいくし、プライベートでも頻繁に食事会をおこなうなど絆は深い。「自分に合う練習が見つかって良かった」とリーダーの下田も理解を示している。
一時は98点台まで点数が落ち込み、このままいけばA級陥落もありうる危機的状況にあったが、今期に入って成績がうなぎ登り。あっという間に105点台にまで持ち直した。このまま順調ならA級どころか、S級1班の点数までも確保できそうだ。「(島田)竜二さんと『一緒に1班の点数を取ろう』と目標を共有しています。目標があるとやる気も出る」
やる気を高める要因がもうひとつ。後輩の松川高大(94期)に借りた自転車が実戦でマッチしたのだ。そのフレームで走った初戦の8月小松島ではいきなり決勝に乗った。しかも1、1、2着で準Vというのだからできすぎで、もう手放せない。「松川からは『返せ、返せ』と言われているけど、まだまだ(笑)」
攻める姿勢を取り戻した新井の快進撃はまだまだ続く。見ているものからすれば、まくるシーンも期待してしまうが、それはさすがに求めすぎか。 


熊本競輪場より