インタビュー

藤田 大輔 千葉 91期 S級1班
来年は勝負の年。見ていてください。

藤田大輔 千葉 91期
男っぽい。ひと言で藤田を言い表すにはこの言葉だろう。検車場では決して目立つタイプではない。逆におとなしい印象さえ受ける。それがいざ、レースになればそれこそ男らしい走りを見せてくれる。何とも不思議と言っては失礼かもしれないが、魅力がある男だ。傑出した選手がいないシリーズ。藤田にもチャンスがあった。予選で対戦するのは吉田敏洋。ネームバリューなら参加選手中1番。しかし、腰のヘルニアを手術してこの開催が復帰2場所目。藤田にとっては十分チャンスがある1走目だった。レースは逃げた竹山陵太の後ろで隅貴史が競り、中団に藤田。吉田は後方に置かれた。しかし「ホームで吉田さんが来る前に行かなければ行けなかった。気が弱いというか、情けない。吉田敏洋という名前にびびったかもしれない」。だが、巻き返してきた吉田ラインを追走する形になり、終わってみれば2着で準決の権利を得た。初日の内容を反省したのか2日目は、絶好の4番手をキープしながら1コーナー過ぎから発進。後方の浜田浩司を引き出す形になったが「後ろが地元の福田さんと小菅さんだし。力不足です」。もっと遅く仕掛ければいいものをと思ったが、地元のために男気のある競走だった。最終日も同県の高橋雅、古川孝行、そして静岡の佐藤明が4番手を回る布陣。決して先行にこだわるタイプではないのに、逃げた。結果は結果、その心意気に拍手したファンもいた。
まだ開催は残っているが、今年を振り返ってもらった。「確か4月なんですが、続けて落車をしてしまい、そこから体のバランスが崩れた。とてもじゃないけど納得できる年ではなかったです」。この悔しさを来年にぶつける腹づもりでもある。
そのために陸上トレーニングを導入するなど新たな試みも。そして以前は少なかった練習グループも最近は7、8人になった。「少ないときは誰かがレースに行ってしまえば、一人だったけど、それがなくなった。お陰で色々とアドバイスを受けることができる。例えば武井大介さんなんかにシューズの事を聞いたり」と環境も良くなった。ただ、環境が良くなれば成績も上がると言うわけではない。「約80万円のロードレーサーを注文したんです。自分に投資するのはプロとして当然ですから」。それがモチベーションにもなっている。そしてもう一つ、家族の存在が大きい。長女・紗世ちゃん(3つ)が最近、公園デビュー?を果たした。「デビューというより公園を走り回るんです。見ている方は転ばないかと冷や冷やなんです。一瞬も目を離すことはできないし、転びそうになったらすぐ反応しないと。集中力と咄嗟の判断力が養われます」。これは競輪にも通じる。今開催の結果は曇りのち雨、ところどころ晴れといった感じだった。予選の着はまずまずも内容を反省。2日目、最終日は着より気持ちの入ったレースを見せてくれた。「来年は勝負の年。見ていてください」。勝負で大切なのは精神力。その強さを藤田は持っている。


平塚競輪場より