インタビュー

高橋 信貴 愛知 105期 A級2班
理系の有望若手株
 着実に頭角を現し始めた。昨年7月のデビューから半年余り。A級3班をなかなか卒業できなかったが、11月から12月にかけて3場所連続完全Vで特別昇班。A級1、2班戦初戦となった豊橋のホームバンク戦で、抑え先行スタイルを貫いたまま(2)・1・(5)着の好成績を残すと、2場所目の四日市でも1・1・(3)着と、パワー満点の走りでV争いをしてみせた。

高橋信貴 愛知 105期
 「もう少し早く9連勝したかったけど、初優勝までに時間がかかってしまいましたからね。最初は勝てた理由がよく分からなかったし、いろいろ試行錯誤もしていた。結局はギアを3.69から3.77に上げたのがよかった」。師匠・小林信晴(83期)からのアドバイスは「A級では自由に走れ」。〝先行〟をあえて使わなくても、今やるべきことが分かっている弟子だからこその言葉であろう。
 理系のトップクラス校である国立豊橋技術科学大学を卒業した。同級生の多くがその専門性を武器に電力会社やJRなど大手企業に就職。当然、高橋も技術者として活躍するのが当初の人生プランだった。ところが、趣味として愛好会の仲間と乗っていた自転車の魅力に取りつかれ、ロードからバンク競技へ。好タイムを出せたことが、競輪選手挑戦を決断させた。
 「環境都市工学科で河川工学や構造力学を勉強していました。就職は決まっていましたし、母親にも反対されましたよ。でも自分の脚で稼げることに魅力を感じていましたし、1回限りと決めて臨んだ競輪学校の試験も一発で合格した。自分で決めたことですから、迷いはありませんでした」
 強靱な脚力に明晰な頭脳。今後の計画や目標も頭の中に明確に描かれている。「ギアはA級で行き詰まったら3.85に上げます。3.92はS級まで取っておくつもり。今は総合的な脚の強化中で、金子(貴志)さんらとの練習は本当に勉強になりますね。金子さんのアドバイス? S級はいいことがいっぱいあるから、早く上がって来いと言ってもらいました」とにっこり。人生の選択が間違ってなかったことを証明する日は遠くないはずだ。


四日市競輪場より