インタビュー

魚屋 周成 大分 99期 A級1班
魚屋の実家は?
 「名前が魚屋なのに、実家は豆腐屋!」という衝撃の怪情報が別府競輪場を駆け抜けた。 「えっ、オレは農家と聞いていたけど…」と江口誉(大分、97期)も困惑を隠せない。さっそく、真相を確かめるべく本人の魚屋周成に直撃した。「父は消防士です。でも、おじいちゃんが豆腐屋をしていたので、実家が豆腐屋というのは正解です」と答えてくれた。「おじいちゃんより先の先祖が何をしていたかわかりませんが、何代かさかのぼっていけば魚関係の仕事をしていたのかもしれませんね」と、まじめに答えてくれた。「珍しい苗字ですからね。小学生の時は『さかなや』と、いじられたりしましたよ。今はもう慣れましたけど」と笑顔。しかし、珍名も有名になれば追い風に変わる。〝競輪界に魚屋あり〟といわれるよう、日々奮走中だ。

魚屋周成 大分 99期 A級1班
 昨年3月に街道練習中の事故で横突起を3本骨折、さらに骨盤骨折、全身打撲の大ケガを負った。「体を戻すまでに半年もかかった」。満身創痍の状態で臨んだ初のS級戦はまさにボロボロだった。「面白くなかったですよ。1勝もできなかったし…。事故の時に自転車も壊れてしまったので、セッティングとかもわからなくなってしまったし…。フレームを替えたり、セッティングをいじったり色々と試したけど、何をしてもうまくいかなかった」と魚屋。
 国体スプリント2位、全国都道府県対抗自転車競技の1kmTT優勝、全日本アマチュア自転車競技選手権大会の1kmTT優勝など、輝かしい実績を誇っていたエリートにとって屈辱の1年だったに違いない。
 それでも年が明けると「自転車にアタリが出た」とA級降格初戦の小倉(③①(4))で久々の1着取りを果たす。「しっかり乗り込んで体重も5キロ絞った。体脂肪率もグンと減った。街道の坂道もペースを落とさず踏めるようになったし、スタミナもついてきたと思う。あとは結果を出すだけと思っています」と、2月の地元別府戦では非凡なスピードを披露。初日は川口直人(神奈川、84期)と岡本大嗣(東京、88期)の叩き合いという展開の利はあったが8番手2角から仕掛け一気に前団を飲み込んで1着。準決は落車レースとなったが、鐘過ぎ4角カマシで2着に粘った。「また、S級に戻って、記念やビッグレースで頑張りたい」と目を輝かせる。魚屋の名前が全国区になるまで魚屋周成は疾走する。


別府競輪場より