インタビュー

若手が集う強化合宿に潜入!
 3月中旬のある日、別府競輪場はいつにも増して活気に満ちていた。20名を超える若手選手が九州各地から集い、強化合宿をおこなったからだ。合宿といっても、各支部が主体となって実施する公式的なものではなく、あくまで任意。2泊3日に渡って大いに乗り込み、体をいじめぬいた。

九州の新鋭たちが別府バンクに集合
 なぜ別府なのか? 発起人の安東宏高(90期)がいきさつを説明する。「元々はデビュー当初に九州の同期たちで定期的にしていたんですが、最近は自然消滅していて。でも2年前に浅井(康太・三重)が『九州に出稽古へいきたいんですがどこかないですか?』と相談に来たんです。それなら、またみんなで集まろうかと話が進んだんです」。
 今では90期だけには留まらず、話を聞いた若手たちが参加する大所帯となり、勢いに満ちあふれている。実際に今回の最年長は34歳の安東英博(87期)で、30代の選手は4、5人程度だった。「他地区の選手と練習すると、普段やらないことができて新鮮。いろいろ影響を受けるし次につながる」と安東は合宿の意義を説明する。ちなみに記者が見学していたときは、北九州・不動會の定番だという「1周半からのインガマシ」という、トップスピードの強化を目的としたメニューをこなし、全員ヘロヘロになっていた。
 若手メンバーの意識も高いようで、大分の若手が園田匠や小川勇介たちへ積極的に練習メニューを提案したり、北九州の若手が松川高大にセッティングを請うたりと、それぞれが自主的に練習へ取り組んでいた。これも若いメンバーの集合体だからこそののびのび感があってこそ。あちこちで見られた他地区同士の交流シーンは、今回の合宿におけるハイライトともいえよう。また、今年5月に競輪学校へ入学する109回生も参加していたが、先輩たちのハードな練習に鬼の形相で食らいつき、気持ちを高めていた。
 猛練習を終えると、別府の名湯で疲れをほぐし、ほどなくして食事会となる。昼間は食事をとらずぶっ通しでバンクにこもるため、宴席は最大の楽しみだ。オン・オフを切り替える場のはずだが、それでもテーブルに上るのは競輪の話題が多く、それぞれ刺激のある一日を心底楽しんでいた。
 こうした取り組みは、周辺団体の理解や協力がなくしては成立しない。施行者が、普段使わない控え室や駐車場を開放してくれ、選手会は地元選手の練習時間を調整したり、訓練指導員を配置してバイク誘導などを手伝ってくれる。全員が一丸で九州を盛り立てようとの思いが、別府バンク全体から強く伝わってきた。
 各地に波及すれば、確実に地区全体の底上げにつながるし、これからの九州は面白くなる。かつて隆盛を極めた「九州王国」再建へ向けた一歩へ…。若手たちの挑戦を応援したい。


別府競輪場より